星降る里の心安らぐ古社「星宮社」

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名古屋市南区にある星宮社(ほしのみやしゃ)は「本星崎」という駅から程近い、静かな住宅街に鎮座しています。駅名からもわかるように、この辺りはかつて海で、社は岬の最南端に位置していました。常夜灯が、灯台の役目を果たしていたと伝えられています。

 

祭神は、日本書紀にも登場する星の神「天津甕星(あまつみかぼし)」。創始は舒明天皇のころ(629〜641年)で、星崎城築城のときに建てられました。

 

一説には、そのころ「この地に星が降ってきた」ことから創建されたとも言われています。これは、なんと隕石が落ちてきたという意味。本当にそんなことがあったのでしょうか。

 

創建当時については詳しくわかっていませんが、日本書紀には隕石落下や流星雨などのことが記されており、また地元の古い資料には、1205年(元久2年)と1632年(寛永9年)に隕石が落ちた記録がはっきり残されています。

 

ちなみに、1632年の隕石は1829年(文政12年)、星宮社のすぐそばにある「喚続神社(よびつぎじんじゃ)」に寄進され、1976年(昭和51年)には「南野隕石」と命名されています(現在は東京の国立科学博物館が所蔵)。これは、日本で2番目に古い隕石です。

 

このように、隕石が何度も落ちていることから、周辺には「星崎町」「星園町」「星宮町」と「星」のつく地名が多くあります。

 

さて、星宮社は比較的こぢんまりとしていますが、大樹に囲まれ、とても落ち着いた歴史を感じさせる神社です。本殿は高台にあり、ここが昔岬であったことをうかがわせます。

 

星宮社鳥居。小さな神橋もある

 

そして、本殿の奥、さらに高い位置にあるのが上知我麻(かみちかま)神社と下知我麻(しもちかま)神社です。上知我麻には乎止與命(おとよのみこと)、下知我麻には真敷刀俾命(ましきとべのみこと)が祀られています。この二人は、日本武尊(やまとたけるのみこと)の妻で、熱田神宮を建立した宮簀媛命(みやずひめのみこと)の両親です。

 

舞台のような拝殿。奥には本殿

 

上・下知我麻神社は熱田神宮にも祀られていますが、星宮社のほうが元宮ではないかと言われています。

 

英霊社

 

境内にある上・下知我麻神社の鳥居と参道

 

上知我麻神社(右)と下知我麻神社(左)

 

さらに、下知我麻には伊奈突智老翁(いなづちのおじ)も祀られていますが、縁起によれば、この地に塩づくりを教えた人だそうです。かつて海だっただけに、星崎は尾張地方屈指の製塩地でもありました。

 

末社。左から白山社、琴比羅社、天王社・神明社

 

末社。左から加具土社、軻遇突智社、霊社

 

星にゆかりがあることから、灯籠には神紋である北斗七星が、社殿の鬼瓦には大きな星が刻まれているなど、境内のあちらこちらに星を見ることができます。それらを探しながら、いにしえに思いを馳せてみませんか。

 

拝殿の鬼瓦の模様は星と雲

 

灯籠に彫られた神紋。円形状の北斗七星に剣先がついている

 

見事な御神木。樹種はクスノキ

 

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アクセス

名古屋市南区本星崎町宮西620
名鉄名古屋本線「本星崎」駅下車、徒歩約10分
詳しくは、下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.city.nagoya.jp/minami/page/0000012431.html
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