海外の植物、小笠原の固有植物を一度に見られる「夢の島熱帯植物館」

0

“夢の島”というキレイな名前がついているものの、実はゴミの埋め立て処分地に整備された夢の島公園内にある、「夢の島熱帯植物館」を今回はご紹介します。

 

まさに大温室(!)を備えた「夢の島熱帯植物館」

 

エントランスでは、鉢植えのかわいい動物たちがお出迎え

 

なぜゴミの埋め立て処分地に植物館があるのか不思議に思うかもしれませんが、そこには大きな理由があります。年間を通じて熱帯雨林の環境が保たれている大温室の、そのエネルギーのもとになっているのが“ゴミ”なのです。隣接する新江東清掃工場に運ばれてきたゴミを熱焼却したときにつくられるエネルギーが、植物館で活用されています。

 

陽の光を浴びながらダイナミックに流れ落ちる滝が印象的なAドーム

 

    風鈴に似ている『フウリンブッソウゲ』

 

外から見ると、巨大な温室の中に大きな木々が生い茂っているのがわかります。大温室は中で3つに区分されていて、ワクワクしながらまずAドームへ入ると、入り口近くには『フウリンブッソウゲ』がちょうど開花していて、その名前の由来にもなっている、風鈴に似ている花を見ることができました。
そして少し進むと、いきなり滝が目の前に現れます。熱帯の水辺がつくられていて、シダの仲間が大きな葉を広げて生い茂り、水面にはスイレンが咲き、気持ちのよい音をたてながら滝が涼しげに流れ落ちています。滝の裏側は通路になっているので、水しぶきを感じながら通る楽しさも味わえます。
また、滝の裏側には、熱帯アメリカの多雨林に自生するツル性植物の『モンステラ』が巨大な葉を広げています。観葉植物としてもおなじみで、葉に切れ込みや穴があるのが特徴のモンステラ。この奇怪な葉の形から、ラテン語で“怪物のような”という意味のモンステラという名前がついたそうです。もうひとつ、観葉植物としてよく知られるポトスもあり、こちらも超巨大な葉を広げていました。あまりに大きくて、鉢植えで見慣れているポトスと同じ植物とはとても思えないほどですが、本来はこの温室で見られるように他の樹木によじ登って10メートル以上も伸び、葉は40~50㎝にもなるのが真の姿だということを知ることができます。

 

家庭でよく見かけるものよりはるかに巨大な『モンステラ』

 

南国の果物、スターフルーツこと『ゴレンシ』

 

Bドームはうってかわって、バナナやマンゴーなど熱帯を思わせる、生活になじみがあり食べられる植物がたくさん植えられています。
スターフルーツの名前の方が一般的には知られている『ゴレンシ』は、果実の断面が星の形をしている、東南アジアを中心に熱帯各地で栽培されているフルーツ。『カカオ』は、言わずと知れたチョコレートやココアの原料です。木にどんな風に実がなっているかを知らない人が見たらきっと驚くでしょう。幹や太い枝に直接花をつけるので、実もそのまま幹や太い枝にとってつけたような格好でなっているのです。

 

幹や太い枝からニョキッと実がなる『カカオ』

 

       小笠原の固有種『タコノキ』

 

Cドームでは、東京都の亜熱帯、小笠原の貴重な植物を見ることができます。『タコノキ』というユニークな名前のついた木は小笠原の固有種で、その名の通り、見た目が海の生物のタコのような植物です。地面に向かって何本も伸びていてタコの足のように見えるのは、気根といって植物を支える役割を果たしています。見ようによっては、モンステラよりもはるかに奇怪な植物が日本にも存在するのです。
同じく小笠原の固有種の『オオハマギキョウ』は、数年かけて育ったあと1度だけ花を咲かせて枯れ、その際に1株で数万粒もの大量の種をつくって撒き散らす特性のある植物で、葉をたくさんつけるので、小笠原では「千枚葉(センマイバ)」と言われています。

 

     小笠原の固有種の『オオハマギキョウ』

 

食虫植物温室には、ウツボカズラが鈴なり状態

 

以上のA~Cドームの他に、夢の島熱帯植物館には少し変わった一室もあります。食虫植物温室です。虫を捕まえて消化し、それを栄養として吸収するさまざまな植物が、ところ狭しと並んでいます。さらに頭上には、食虫植物の中でもよく知られるウツボカズラが鈴なりになっています。虫をどうやって捕獲するのかわかりやすい展示説明もあり、珍しい植物の世界に引き込まれてしまいます。

 

都内にいながらにして、南国気分を存分に満喫できる夢の島熱帯植物館へ、足を運んでみてはいかがでしょうか。見たこともない植物との出合いがそこにはありますよ。

 

[su_note note_color=”#f6f6f6″]
インフォメーション

夢の島熱帯植物館は、昭和63(1988)年に開館した、巨大なドーム型温室で熱帯と亜熱帯植物を見て学んで楽しめる植物館です。温室の熱源は、隣接する新江東清掃工場の余熱が利用されています。

[/su_note]

 

[su_note note_color=”#f6f6f6″]
●アクセス

東京都江東区夢の島2-1-2
TEL 03-3522-0281
地下鉄有楽町線・JR京葉線・りんかい線「新木場駅」より徒歩15分、地下鉄東西線「東陽町駅」よりバス「夢の島」下車徒歩7分

詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.yumenoshima.jp/

[/su_note]