“折り紙”は大人も楽しめる造形文化だと気付かされる「東京おりがみミュージアム」

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子どもの頃、学校や家庭で周囲の大人に教えてもらい、見よう見まねで親しんだ「折り紙」。大人になってからは縁遠くなり、最後に折り紙に触れたのはいつだったか思い出せないほど昔のこと。かろうじて覚えていて折れるのは鶴くらい…という人も多いのではないでしょうか。海外では折り紙は高等な趣味として捉えられていますが、日本では、折り紙は“子どもの遊び”という意識が強いため、残念なことに成長とともに離れていってしまうようです。
子どもの頃の記憶で止まったままの折り紙の世界が、数十年たった今、どんな変化を遂げているか、東京・墨田区本所の「東京おりがみミュージアム」を覗いてみました。

 

通りすがりより、わざわざ目指してやってくる人が多い「東京おりがみミュージアム」

 

さまざまな折り紙作品が展示されている館内

 

ミュージアムには、子どもの遊びにピッタリな作品や、折り紙はまさに高等な趣味!と思わずにはいられないほど、緻密な計算と高度なテクニックを要する作品など、さまざまな折り紙作品が常設で展示されています。折り紙の魅力にハマり、既存の折り方以外に自分でオリジナルのものを考える人が増えているので、日々新しい作品が生まれているそうです。

 

『あじさい(創作:藤本修三)』制作:加藤美子

 

部屋のインテリアにもなる色紙飾り。『菖蒲』創作:山科節子「折り紙四季の作品集‐おもいで‐」より

 

たとえば折り紙のテクニックの1つ、藤本修三さんの「あじさい折り」は、この世界では有名な折り方の1つです。出来あがった作品を見ているとまったく違う形をしていて、素人目には同じ折り方をしているとは瞬時にはまったくわからないです。応用が利くからでしょうか、展示作品の中にはあじさい折りを用いた作品がいくつもありました。折り紙に詳しくないと、作品の全体の形に目が行きがちですが、どんな折り方がされているのかに注目して見てみると、折り紙の奥の深さを少しだけ垣間見ることができます。

 

講習で製作する作品のサンプルも展示されています。『秘伝千羽鶴折形』より

 

くねくね動くヘビは、つくる楽しさと遊ぶ楽しさの両方が満たされる作品

 

館内には売店コーナーもあり、さまざまな大きさや色・柄・素材の折り紙用紙が並んでいます。見ているだけで楽しくなるようなポップなものやシックな柄のものなどがあり、単色のものが主流だった昔と違い、種類が豊富になっています。折り紙用紙を見るだけでも十分に時の流れを感じ、折り紙は単に折るだけのものでなく、それ以外の魅力も付加されて、さらに楽しい文化になっていることに気が付きます。

 

来館者は子どもから大人まで幅広く、展示作品を見たり、折り紙用紙を購入したり、講習の情報を得ようと訪れています。講習では、江戸時代に出版された連鶴の古典『秘伝千羽鶴折形』の中の作品を取り上げたちょっと高度な教室から、高齢者や子どもも楽しめる教室まで複数開講しているので、自分のレベルに応じて選び、折り紙を楽しむことができます。

 

売店では、折り紙関連雑誌や書籍、各種折り紙用紙などを販売しています

 

最近の折り紙用紙はドットや猫柄などポップなものもあり、色・柄・素材の種類が豊富

 

折り紙は、紙さえあれば、どこでも誰でも楽しむことができます。また、何人も集まってお喋りしながらもできますし、1人で黙々と折ることもできます。1枚の紙からつくり出されるものには無限の可能性があり、子どもが喜ぶ動物をつくったり、季節に応じた花をつくったり、色紙に貼ってインテリアとして飾ったり、贈りものにしても喜ばれるでしょう。“子どもの遊び”に留めておいてはもったいない、大人も楽しめる日本の造形文化なのです。

 

ところで、毎年11月11日は、なんの日かご存知ですか?
「おりがみの日」なんですよ。「おりがみの日」記念行事として、その日をはさむ前後の期間に、こどもの城(東京都渋谷区)を会場にして、「おりがみカーニバル」が毎年開催されます。カーニバルの開催期間中は、全国の児童館や放課後児童クラブに集まった子どもたちが製作した作品を展示する「全国児童館おりがみ作品展」と、日本折紙協会会員から寄せられた「おりがみの日」の記念作品を展示する「おりがみカーニバル作品展」が同時開催されます。
まずは東京おりがみミュージアムを訪れ、折り紙に興味を持った人は、さまざまな世代の折り紙作品が一堂に会するこのイベントにも、足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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インフォメーション

東京おりがみミュージアムは、2010年にオープンした、日本折紙協会が運営するミュージアムです。折り紙は、日本の伝統的な造形文化であり、すぐれた教育素材であることを、作品の展示や折り紙の講習を通じて、伝承・普及しています。

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●アクセス

東京都墨田区本所1-31-5
TEL 03-3625-1161
都営地下鉄大江戸線「蔵前駅」より徒歩8分

詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.origami-noa.jp/

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