豆腐

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豆腐は8~9世紀の唐代中期に中国で生まれたと言われています。その後、我が国では平安時代の記録に登場し、室町時代の頃には庶民にもかなり普及していたようです。

 

豆腐が生まれた中国では大豆乳加工品が、豆腐以外に豆乳や乳腐(豆腐を酒や醤油に漬けて固めたもの)で発展したのに対し、日本では豆腐だけが独自に進化し洗練され発展していきました。

 

日本人は知恵を多角的に豆腐に注ぎ込み、研究を続けました。
(1)豆腐はタンパク質や脂質に富み、その上吸収の良い非常に優れた食品であることを知り、これを積極的に食卓に上がらせたこと(栄養学)
(2)豆腐の持つ淡泊な味覚や美しい色などを様々な料理に活かしきること(調理学)
(3)豆腐を材料にして、いろいろな加工食品や保存食を産み出したこと(食品加工学)

 

このように日本人のご先祖様たちは豆腐を深く愛し、気づくと一大豆腐文化をつくりあげてしまったのでした。

 

江戸時代の料理本「豆腐百珍」には豆腐の料理が百種も紹介されていて、また続編でもさらに百種の料理法が述べられていたそうです。あの白く軟らかい素朴な塊から二百種もの料理を、今から二百年以上前にあみだした日本人の知恵には本当に驚かされます。

 

湯豆腐、冷奴、煮物、汁の実など日常のものとして食しながら、田楽や揚げ出し豆腐、焼き豆腐、煎り豆腐、がんもどき、凍豆腐などからも多くの料理を派生させて味わっていたのでした。

 

ところで現在、食卓にのぼる豆腐には、もめん豆腐ときぬごし豆腐の2種類があります。「もめん」と「きぬ」という名前から、豆乳をこす布の違いが名前の由来と思われがちですが、それはまったくの誤解で、その違いは作り方の相違にあるのです。

 

水にひたしてやわらかくした大豆に、水を加えながらすりつぶしたものをこして豆乳にし、にがりなどの凝固財などで固める、この原理はどちらの豆腐も同じです。
「もめん」はもめんの布を敷いた穴の開いた箱で重しをし、水を切りながら固める素朴な風合いが持ち味。「きぬごし」は箱に穴もなく、布も重しも置かずに固めてキメ細やかに仕上げます。もめん豆腐は断面が不均一で、舌ざわりが粗い感じですが、素朴な風味で、しっかりした食感が特徴です。一方、きぬごし豆腐のほうは、もめんに比べるとなめらかで表面もキメが細かく美しいところから「もめん」に対して「きぬごし」と名付けられました。

 

“畑の肉”と呼ばれるほど豊富なタンパク質を含む大豆。大豆のタンパク質は必須アミノ酸のバランスも良く、その素晴らしい食材の大豆と日本のおいしい軟水から生まれた豆腐は、これからも日本人に愛されていくことでしょう。

 

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【参考資料・web】

「食と日本人の知恵(著:小泉武夫)」岩波現代文庫
日本豆腐協会HP
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