粥と雑炊

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日本人は昔から質素な粥(かゆ)を大いに食してきました。

 

「朝早く粥をぬくめて、軟らかくして食べると、腸胃を養い、からだを温め、つばきがでる。寒い月にいちばんよろしい」と貝原益軒は『養生訓』で粥の効用を説いています。

 

稲作伝来以来、日本人は米を焼いたり、煮たり、蒸したり、様々な調理方法で食べてきました。焼いたものを「焼米(やきごめ)」、蒸したものを「飯(いい)」、煮たものを「粥」といいましたが、米の食べ方の中心は粥でした。

 

粥はその固さにより固粥(かたがゆ)と汁粥(しるがゆ)に分けられます。今日、私たちが食べている“ご飯”は固粥に、そして“粥”は汁粥に入ります。

 

汁粥は昔から日本ではその濃さにより名称をつけて分けてきました。「全粥」とは米と水を重量比で一対五にして炊いたもの。「七分粥」とは一対七、「三分粥」とは一対十五、そして米が一に対して水を十の割合で煮て汁だけをこしとったものは「重湯(おもゆ)」、全粥一に対して重湯九の割合で混ぜたものは「御交(おまじり)」と言います。
病人や高齢者、あるいは離乳食など目的に応じて作り方を変えているのは、いかにも日本人らしい細やかな食の知恵と言えましょう。

 

一方、粥と似たもので「雑炊(ぞうすい)」があります。
「御粥」という文字は伊勢神宮の『皇太神宮儀式帳』(804年)に登場するのに対し、雑炊は平安時代末期から室町時代にかけて塩雑炊や味噌雑炊が現れてくることから、粥より後の時代のものと考えられます。

 

粥状に米を煮る時、雑穀やありあわせの魚介や野菜を混ぜ、時には蕎麦粉などもねりあわせ、塩や醤油、味噌などで味付ける。こうして大切な米を節約するほか、病弱者には消化を助け栄養を補給し、また冬期の保存食としてなど、いろいろな目的に応じて活用してきました。

 

嗜好品としての雑炊には卵やカキ、鶏肉などを加えたりしますが、フグチリや寄せ鍋などの鍋物の残り汁にご飯を加えて作る雑炊は、日本人に生まれてきて良かったと実感できる至福の食といえるのではないでしょうか。

 

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【参考資料・web】

「食と日本人の知恵(著:小泉武夫)」岩波現代文庫
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