日本最古の神社「大神神社」

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高さ467メートル、周囲16キロメートル、面積およそ350ヘクタールにもわたる三輪山をご神体とする大神神社。その創始は神代の頃、ともに国造りを行っていた少彦名神 (すくなひこなのかみ)を失ったのち、一人ではこの国を治めることは出来ないと落胆していた大己貴神(おおなむちのかみ)が、海原を照らして突如として出現した神の「大和国の東の山の上に祀れば国造りに協力する」との助言に従って、自らの和魂(にぎみたま)である大物主大神(おおものぬしのおおかみ)を三輪山に祀ったことをその始まりとしています。

 

現在では山頂の奥津磐座(おきついわくら)に大物主大神が、中腹の中津磐座(なかついわくら)に大己貴神が、そして山麓の辺津磐座(へついわくら)に少彦名神がそれぞれ祀られています。よって境内に本殿はなく、拝殿奥にある三ツ鳥居を通して三輪山の磐座へ礼拝する形をとります(但し申し込みを行えば三輪山への入山が可能)。今の神社にはあまり例をみない様ですが、これは原初の神祀りの形態を今に伝えており、そのことから大神神社は日本最古の神社とも称されています。

 

二の鳥居前

 

祓戸社。お参りすることで穢れを落とせます

 

二の鳥居を抜けると風は涼やかに、緑はその色を深め、鬱蒼と生い茂る椎や樫の葉先が擦れる音が、側を流れる御祓川のせせらぎとあわさり、感じ取れるものはよもや日常のものではなくなります。さらに風が運ぶ土と草の匂い、玉砂利を踏みしめる音、張りつめる厳かな空気が参道を進めば進むほどに濃度を深めて、石段を登り拝殿に足を踏み入れる頃には不思議と顔から汗が引いていました。それは神域に入ったことによる緊張感、と同時におそらく視界に突然栄えた杉の木のあまりの雄大さに圧倒されてしまった、というのが大きいかもしれません。

 

拝殿前に聳えるこの杉の木はその名を巳の神杉(みのかみすぎ)と言い、その樹齢はおよそ350年、根回りは5メートルで、境内数多く息づく杉の中でも最も太い杉だとされています。その名の巳の神杉とは、根元の洞に白い巳(み=蛇)が棲んでいたことに由来していますが、蛇は三輪の神の原初の形とされ、水神、雷神であるとともに農業神、五穀豊穣の神としても尊崇されています。そのため、巨木の前には蛇の好物である卵や神酒が供えられ、ひっきりなしに参詣者が手を合わせていました。

 

巳の神杉

 

拝殿と三つの茅の輪

 

他にも古い由緒を起因として、特別に名前が与えられた杉の木が3つあります。衣掛杉(ころもがけのすぎ)、しるしの杉、おだまき杉。いずれも枯れて、既に株だけの様となっていますが、どれも古来より神霊の宿る神樹、神霊の天降りる霊木として神格化された杉の木ですから、大神神社に来た際には全てを巡り、霊験あらたかなエネルギーをその身に感じてみてください。

 

参集殿の玄関にあるなで兎。撫でると運気アップに加えて撫でた部分の体の痛みを取ってくれます

 

くすり道

 

さて、巳の神杉に礼拝し終えた人の流れはそのまま拝殿へと向かっていきます。先に述べたとおり、拝殿の前に立った参詣者はここから三輪山を拝むことになります。幸いにも取材に訪れた日は夏越の大祓え(なごしのおおはらえ)の時節であったため、拝殿前に三つ(杉、松、榊)の茅の輪がたてかけられていました。参詣者の動きを見ると、杉の輪から入り、松の輪をくぐって再び杉の輪を抜けてから榊の輪、杉の輪をくぐっています。どうやらこの動きの内に生活の中で知らず知らずのうちに溜まった穢れが祓い清められるようですね。期間は6月21日から7月7日までと、残念ながら今年は既に終了してしまいましたが、この三つの茅の輪と三輪山への礼拝を重ねることで無病息災のご利益も格段に膨らむことでしょうから、来年には是非期日に合わせて赴いてみてください。

 

それでは最後に摂社である狭井(さい)神社へ行ってみましょう。
拝殿から参集殿前の石段を降り、開けた場所に建つ祈祷殿を横目に進んでいくとやがて上に太いしめ縄を結んだくすり道が見えてきます。緩い傾斜となった石段の両脇は再び森のように鬱蒼と木々が茂り、狭井神社までの比較的距離のある細い道を進んでいくこととなります。その途中には水の守護神で安芸の宮島の御祭神でもある市杵島姫(いちきしまひめ)を祀った神社、「清明」と刻まれた三島由紀夫の石碑(三島由紀夫の小説「奔馬」にこの神社が登場)が建ち、それを横目にさらに歩を進めるとようやく少し小高くなった場所に狭井神社が見えてきます。

 

三島由紀夫石碑。1966年、三島由紀夫はドナルド・キーンととともに大神神社を訪れました

 

薬井戸。脇にコップが用意されていますので汲んで飲みましょう

 

狭井神社の主祭神は大神荒魂神(おおみわのあらみたまのかみ)で、古来より病気を鎮める神として信仰を集めてきました。その象徴となっているのが、狭井神社拝殿裏手の薬井戸。湧き出る霊泉は万病に効くと伝えられ、噂を聞きつけ遠近より多くの方が飲みに来られるようです。なお拝殿の脇には三輪山への登拝口もあります。受付とお祓いを済ませれば、この登拝口から入山可能のようですので興味がある方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょう。

 

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アクセス

奈良県桜井市三輪1422
TEL 0744-42-6633
JR三輪駅より徒歩5分
http://www.oomiwa.or.jp/index.html
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