野鳥と都会人のオアシス、東京港野鳥公園

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近くにあるといつでも行けると思い、なかなか出掛けられない場所はありませんか? 私にとってはそんなロケーションの東京港野鳥公園を訪ねました。

 

ここは東京都立の公園で、園内すべてが野鳥の住み家になっています。東京都大田区の海側、環状7号線と大田市場に挟まれた海辺にあり、約25万㎡という都心とは思えない贅沢な広さで、そこに大小3つの池を含む約7200㎡の水辺が確保され、鳥たちの憩いの場となっているのです。

 

園内の「鳥ガイド」によると10~3月の冬に見られる鳥としてマガモ、コガモ、オナガガモ、オオタカ、モズ、ツグミなど14種が、春と秋にはメダイチドリ、ムナグロ、キアシシギなど7種が、夏にはササゴイ、コチドリ、コアジサシなど5種、そして一年を通じて見られるのはダイサギやコサギ、カワウ、カルガモ、カワセミ、ハクセキレイ、メジロ、スズメ、ハシブトガラスなど18種、計44種の鳥が見られるそうです。これほど多くの鳥が生息する場所が、こんな都会にあるとは知りませんでした。

 

管理事務所の脇で、今いる鳥たちが紹介されていました

 

かつて一帯は東京湾の中で、遠浅の海でした。江戸時代から明治にかけては海苔が盛んに作られていました。1960年代後半から埋め立てが始まり、埋め立て後、地面に雨水がたまって池や原っぱができ、いつしか野鳥が集まるようになりました。こうして大井埋立地はバードウォッチングの名所となり、1989年10月東京港野鳥公園が開園しました。初夏には巣作り・子育て、春・秋には長い渡りの中継地、冬は越冬と年間を通して鳥たちが安心して暮らせる場所となっています。

 

案内図をもらいましたが、散策路が整備されているので、地図を見ないで歩みを進めました。管理事務所を越えると木立の中から早速賑やかな鳥のさえずりが聞こえてきました。立ち止まって聞いていると、鳥たちが会話をしているようにも感じられます。さらにじっと自分の気配を消していると、虫たちの鳴き声も聞こえてきて、どこかの深い森を訪ねたような感じさえしました。

 

ゆっくり5,6分も歩くとネイチャーセンターに到着。ここは公園の中心的な存在で、海水と淡水が混じる「潮入りの池」という大きな水辺に面して建てられています。3階建てですが、鳥たちを刺激しないためなのか緑の木々で屋根から覆われ、まるで付近の自然と一体化しているよう。展望室からは備え付けの望遠鏡で池の鳥たちをゆっくり観察することができます。訪れたこの日は、池に少しだけ顔をだすように立ち並ぶ杭を、全身黒色のカワウたちがほぼ占拠していました。太陽の方に顔を向けて、片足立ちで休んだり、羽を繕ったり。近くの水際にいたサギたちと共にのどかな時間を過ごしていました。

 

深い森を抜けるように園内の歩道が続きます

 

緑でカモフラージュされたネイチャーセンター

 

同センター内にはレンジャーの方がいて、鳥や水辺の生き物など自然の生態に関する疑問にやさしく応えてくれるから、是非立ち寄りたい施設です。また、同センターの地下1階にある干潟観察コーナーも必見です。うまく時間が合うと潮の満ち引きで干潟に現れる蟹や魚をすぐ目の前でみることができるのです。近づいた私の足音で一旦は干潟の穴に隠れた蟹たちも、じっとして静かに待っていると用心深そうに隠れた穴から顔を出してきました。それもあちこちから同時多発的に。可愛い蟹を近くで観察できますよ。

 

展望室から望遠鏡で観察できます

 

池の杭にとまっているのはカワウ

 

ネイチャーセンターを出て、さらに公園の奥へ進むと観察小屋にたどり着きます。小屋の一部だけが外を覗けるように作られていて、羽を休める鳥の群れにかなり近い所から観察ができるようになっています。大きな望遠レンズが付いたカメラを構える先客ふたりが観察、撮影に集中していました。無言で鳥たちを見つめていて、時折、シャッターの連写音が小屋に響きました。

 

羽田空港が近いので離陸直後の機体を下から撮影できるのです

 

観察小屋の入口

 

それにしても野鳥を撮影するのはとても難しいことがよく分かりました。被写体が遠いので望遠レンズがやはり必要なようです。また、素早く機敏な鳥を撮るには技術も大事なように思いました。私は機材も技術も不足しているので、残念ながら鳥たちの表情を伝えられるような写真は一枚も撮れませんでした。しかし、目や耳、肌、五感で自然を感じることができたのは大きな収穫で、都会の片隅に生きる小さな鳥や虫たち、植物たちからたくさんエネルギーをチャージされました。

 

中は薄暗くて、一部だけが観察用に開放されています

 

天気の良い土曜日の午前中に訪ねたのですが来園者は意外に少なく、敷地の広大さもあり、かなりのんびり出来て、大いにリフレッシュできました。都心で見つけたエアポケットのような東京港野鳥公園、はっきり言ってお薦めの穴場です。

 

カモの群れが行ったりきたり

 

向こう岸でたたずむアオサギ

 

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アクセス

東京都大田区東海3丁目1
TEL 03-3799-5031(東京港野鳥公園管理事務所)
東京モノレール「流通センター」下車 徒歩15分
またはJR大森駅・京急平和島駅からバスで「野鳥公園」下車 徒歩5分

詳しくは、下記公式サイトをご覧ください。
http://www.wbsj.org/wbsj-blog/yachoukouen/
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