日本人なら一度は行きたい「伊勢神宮」

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三重県伊勢市に鎮座し“お伊勢さん”の名で親しまれる伊勢神宮は日本の守護神です。日本国内には8万を超える神社がありますが、そのほとんどを統括する神社本庁が本宗(ほんそう)と仰ぐ伊勢の神宮です。

 

正式名称は「神宮」。一つのお宮を指すのではなく、125社の総称で、皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)の両正宮を中心に、14か所の別宮、109か所の摂社・末社・所管社から成り立っています。両正宮は親しみを込めて「内宮(ないくう)さん」「外宮(げくう)さん」と呼ばれています。

 

外宮の第一鳥居

 

外宮の第二鳥居

 

内宮に祀られているのは天照大御神(アマテラスオオミカミ)。あらゆる生命を育む太陽神で、女神様です。皇室の御祖神であり、日本国民の総氏神なのです。今から2千年ほど前の垂仁(すいにん)天皇の御代に、皇女・倭姫宮(ヤマトヒメノミヤ)に案内されて五十鈴川のほとりにお鎮まりになりました。

 

一方、外宮に祀られているのは豊受大御神(トヨウケノオオミカミ)で、産業や衣食住を守護する神様です。天照大御神に食事のお供えをする神様(御饌都神・ミケツカミ)として1,500年ほど前に伊勢の地に招かれ、鎮座されました。

 

参拝の順番は、外宮を先に、次に内宮にお参りするのが正式とされています。
今回の訪問では気合を入れて前日の夜に伊勢市内のホテルに泊まり、翌朝6時半には出発。薄暗い道を歩いて外宮へ向かいました。表参道から入り、掃き清められた参道を進むと身も心も浄化されます。第二鳥居から先は、より清浄な神域で、空気が変わった感じがしました。

 

参道の両脇には高さ20mはありそうな杉の巨木があちらこちらに。どれも立派でご神木に見えてしまいます。他に榊、椎、樫などが鎮守の森に息づいていますが、神域の樹木には御鎮座以来、育成に必要な伐採以外はしないことになっているそうです。

 

いよいよ外宮の正宮、豊受大神宮に着きました。板垣南御門の前でお辞儀をして進み、二拝二拍手一拝でお参りします。この先に神様がいると思うと、とても厳かな気持ちになりました。

 

豊受大神宮

 

正宮の隣りにある敷地、20年後に新しいお宮が建てられます

 

その後、別宮の「土宮(つちのみや)」「風宮(かぜのみや)」「多賀宮(たかのみや)」へ。お参りを終えた頃にはすっかり日が差してきて、参拝客も多くなってきました。早起きして、夜明けすぐにお参りに行ったので、静かな雰囲気の中でゆっくり参拝が出来ました。浄化された空気の中で、神様から力をいただきました。

 

建て替えられた土宮

 

多賀宮

 

内宮はその翌朝訪問しました。まだ朝7時過ぎだというのに大勢の人々が訪れていました。外宮の厳かな雰囲気とは異なる、明るく朗らかなムードでちょっと意外でした。

 

シンボルでもある五十鈴川に架かる宇治橋をわたり神苑へ。参道は広々としていて公園のようなおもむき。第二鳥居を超えるといよいよ神域なのですが、なぜかハイな気分に。やはり太陽神への参拝ですから自然とハッピーな気分で盛り上がってしまうのでしょうか。明治神宮の正月の境内に似たものを感じました。

 

内宮の入口(宇治橋)

 

神苑

 

いよいよ天照大御神がいらっしゃる皇大神宮へお参り。神様のおかげなのか、他の参拝者も楽しそうに見え、私も縁日かテーマパークにでも行ったような高揚した気持ちになりました。

 

御饌殿

 

皇大神宮

 

いろいろな神社にこれまで行きましたが、こんな気分になったのは初めてのこと。昔からお伊勢参りは全国的に憧れでしたが、いにしえの参拝者もきっと盛り上がったのでしょう。DNAに刻まれた感性の仕業なのか、時代を越えて同じ気分を共有できました。神様に生かしていただいている、そんな気がして有難い気持ちになりました。

 

神宮では毎日必ず何かのお祭りが行われています。毎年恒例のものから、臨時のお祭り、20年ごとの式年遷宮など多種多様なお祭りが開催されています。

 

日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)は神様にお食事をお供えするお祭りで、毎日朝夕の2回行われています。清浄な火(忌火)で、神々にお供えする神饌(しんせん)を調理しています。

 

神宮では20年に一度、神殿を建て替え神様を新しいお宮にお遷しします。神の力が新たに甦ることを祈るのです。この式年遷宮はわが国でも最も重要なお祭りの一つとされています。神殿や御門をはじめ様々な調度品を新調しますが、その準備は8年前から行われる大規模なものです。

 

記録によれば最初の式年遷宮は持統天皇4年(690)で、実に1300年以上にわたり続いてきた伝統ある行事です。平成25年は出雲大社の60年に一度の本殿遷宮と、伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮をそろって迎えた記念すべき年でした。

 

平成25年の10月には伊勢神宮の正宮においてご神体を新宮に遷し祀る「遷御(せんぎょ)」が執り行われました。TVのニュースなどで多く報道されました。

 

私はこの行事で20年に一度の遷宮も終わったものと理解しておりました。しかし、まだ続いていたのです。両正宮は新しいお宮に建て替えられていましたが、別宮では一部がまだ建築中で、式年遷宮の行事がまだ終わってはいないのです。「月夜見宮(つきよみのみや)」「風宮」では、平成27年3月まで遷宮の行事が続きます。

 

外宮の表参道、第一鳥居手前、勾玉池のほとりに「せんぐう館」があります。伊勢神宮のことや、式年遷宮について学ぶことができますので、お時間があれば立ち寄ることをお勧めします。

 

荒祭宮

 

御厩(みうまや)にて。天皇陛下より御奉納された御馬「空勇(それいさむ)号」

 

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アクセス

内宮(皇大神宮) 三重県伊勢市宇治館町1
近鉄 宇治山田駅からバス15分
外宮(豊受大神宮)三重県伊勢市豊川町279
JR・近鉄 伊勢市駅から徒歩5分
TEL 0596-24-1111(神社司庁)
詳しくは、下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.isejingu.or.jp/
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