日本建築の落ち着いた雰囲気、木と畳の香りに寛ぐ「雪梁舎美術館」

雪国・新潟を表す“雪”、日本家屋の構造に欠かせないものであり人々に力強い安堵感を与えてくれる“梁(はり)”、同じ想いを求める人が集ってお互いが切磋琢磨する場所でありたいとの願いが込められた“舎”。
館名の3文字にそんな想いが込められている「雪梁舎(せつりょうしゃ)美術館」は、新潟市西区の国道8号線沿いにある美術館です。国道から見ると旅館もしくは料亭にも見える外観は、雪梁舎という名にふさわしい風格ある建物で、美術館としては珍しい木造2階建て。同美術館の理事長であり、ホームセンターで知られる(株)コメリ会長の捧(ささげ)賢一氏が、長年コレクションしてきた美術品を中心に展示しています。

 

美術館としては珍しい、木造2階建ての雪梁舎美術館

 

展示作品とともに、天井の見事な梁にも注目したい「新制展示室」

 

入館してすぐ左手にある主に企画展示を行う「新制展示室」は、外観からはこんな空間があるとはとても想像できないくらいの、高い天井に力強く梁がわたった、約50坪もの解放感あふれる展示室です。
さらに進んで、1階奥にある同じく企画展示を行う「常設展示室」。こちらはなんと86畳敷きという広さを誇る、畳の展示室です。和室のためこちらの展示室は靴を脱いで入るので、日本建築の落ち着いた雰囲気の中で、正座して見たり、ゆったり足を伸ばして座って見たり、思い思いの姿勢で作品と向き合うことができます。取材に訪れた日は和室での展示にイメージぴったりな書や工芸品が主に展示されていましたが、企画展によっては油彩画、水彩画なども展示されます。作品がもっている個性に新たな趣を添えてくれる展示室なので、次はどんな作品と出合えるのか展示替えごとに楽しみになります。

 

清々しい畳の香りが心地よい、86畳の「常設展示室」

 

2階にあり、秘密めいた幻想的な雰囲気の「シャガールの部屋」

 

常設展示の「マイセンの部屋」は、四方ぐるりとマイセン磁器で埋め尽くされている、ファンにはたまらない小部屋です。年に1度展示替えが行われますが、中央に設置された『色絵飾り壺』(1850年代)は、常時見ることができます。
1710年に製造がはじまり、ヨーロッパ最古の歴史があるマイセンは、日本をはじめ世界中にコレクターやファンがいるドイツの古窯。この色絵飾り壺は、代々医業に携わるポーランド系ドイツ人の家宝でしたが、第二次大戦前、ナチの迫害を逃れて南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに疎開させてあったものです。壺を覆っている花の見事な成型や色彩を目にすると、マイセンが人々を魅了してやまない理由がわかります。

 

『色絵飾り壺』が中央に展示されている「マイセンの部屋」

 

2階「友の会ギャラリー」では、活躍中の新潟県出身の作家を中心に、日本画、油彩画、彫刻などを展示販売しています

 

2階にある、こちらも常設展示の「シャガールの部屋」には、連作版画が展示されています。もともと収蔵部屋にするはずだったこの部屋は、できあがってみると、大きな梁と広い板張りで木のぬくもりが感じられ、捧理事長にとって懐かしいふるさとの家の趣があり、またシャガールも故郷をこよなく愛していたことから、シャガールの部屋になったという経緯があります。明るい1階から階段を上っていくと少しずつ照明が暗くなり、部屋に入るとシャガールの版画が間接照明でぼんやり浮かび上がって見える、幻想的な空間演出がされています。

 

ガンダーラ美術が展示されている喫茶室「田母木」

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敷地内には本格的な茶室「自在庵」もあり、流派を問わずお茶会やお稽古、さまざまな会合に利用されています

 

このようにどの展示室もそれぞれ異なる魅力がありますが、雪梁舎には、展示作品を見るほかにも魅力あふれる特徴があります。それは3つの“香り”です。
まずはじめの香りが、館内に一歩入ると感じる木造建築の木の香り。この夏で開館20年を迎えますが、そんなにも年数が経っているとは思えないほど、入った瞬間から木の香りに包まれます。続いて「常設展示室」の、清々しくも懐かしい畳の香り。最後に、館内にある喫茶室「田母木」の珈琲の香りです。マイセンなどヨーロッパの器の中から好きなものを選び、日本庭園を眺めながら、ゆったりとした時間を楽しむことができます。
建物、展示作品、日本庭園、珈琲によって五感が刺激され、思い出してはまた訪ねたくなる寛ぎ空間、雪梁舎美術館。庭園の池で古代蓮が見頃になる初夏、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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5~6月はツツジやアジサイ、7月は蓮など、四季折々の楽しみがある日本庭園

 

インフォメーション

平成6(1994)年8月に開館した雪梁舎美術館は、新潟県出身、県ゆかりの作家の作品を中心に、版画家・棟方志功や書家・中林梧竹ら、またヨーロッパ磁器最古の窯マイセン、シャガールの版画作品を収蔵しています。常設展のほか、年に6~7本の企画展を開催しています。

 

●アクセス

新潟市西区山田451
TEL 025-377-1888
JR新潟駅前からバス、「新潟ふるさと村」下車徒歩3分

詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.komeri.bit.or.jp/setsuryosha/