弥生時代の生活が身近になる~参加体験型ミュージアム「静岡市立登呂博物館」

水田や住居、高床倉庫、祭殿など弥生時代の登呂ムラの様子が再現されている登呂公園。戦争が激しさを増す1943年に発見された遺跡の発掘調査は、1947年から2度に渡って行われました。

 

発掘されたのは20軒を超える住居と、9棟を超える高床倉庫、1棟の祭殿、小区画に分割された8haの水田などです。出土品が展示されている「静岡市立登呂博物館」では、稲作の歴史や登呂遺跡のこと、登呂以外の遺跡のことまで詳しく解説されています。

 

登呂ムラの様子を再現した登呂公園の風景の中にある「登呂博物館」(右)

 

戦後初の発掘調査が行われた登呂公園に復元された「住居」と「高床倉庫」

 

「弥生体験展示室」では一連の農作業が体験できるように工夫されています。ぬかるんだ田んぼの歩きにくさにまでこだわって再現されたと聞いたときは驚きました。「田下駄」を履いて田んぼを耕すところから始まり、苗を植え、石器(せっき)を使って穂の上の部分を収穫する「穂首刈り(ほくびかり)」、収穫した米を脱穀する作業までが順序よく体験できるように考えられていました。

 

石と鉄の道具を使い比べて木を削る体験もまた新鮮でした。石斧のときは木が飛び散ったのに対し、鉄の斧は木に刺さる感触がよくわかります。より使いやすい道具を試行錯誤していた弥生時代の人たちの苦労に、想いを馳せることができました。

 

    「火おこし体験」は毎日催されています

 

6月ごろに屋外で体験できる「田植え体験」

 

出土した鍬(くわ)や鋤(すき)などの農具は、かたいカシの木で作られています。土の中に埋まっている部分だけが残り、地上に出ている部分は朽ちてしまうのだそうです。たしかに農耕具の柄の部分はほとんど残っておらず、展示されているのは本体の部分ばかりでした。

 

「石の斧(左)」と「鉄の斧(右)」の使い心地を試すことができます

 

住居、高床倉庫、祭殿、水田などの登呂ムラの様子が再現された「弥生体験展示室」

 

屋外の登呂公園では、火おこし体験ができます。ヒノキとスギの木を摩擦して起こした火種を麻に移し、フーフーと吹いて火をおこす作業は、やってみると大変でした。火を起こす方法には紐を棒に撒きつけてその遠心力を使う「まいぎり法」と、それよりもっと原始的な「もみぎり法」があるそうです。

 

登呂ムラを再現したミニチュア

 

登呂遺跡から出土した実物資料が常設展示されています

 

簡単にみえた「まいぎり法」を体験させてもらったのですが、リズミカルにしないと紐がのびきってしまい、なかなかうまくいきません。博物館の方にほとんどやってもらう形でしか火はつけられませんでしたが、焦げた木の香り、燃えた麻の香りは芳ばしくて心地よいものでした。

 

ぬかるんだ田んぼを歩きやすくした「田下駄」(出土品)

 

天候に恵まれた日に展望台から見ることができる富士山を紹介するゆるキャラ・トロベー

 

火を起こすことだけでこんなにも手間がかかる弥生時代の1日は一体どんなだろうと想像を膨らませながら、ゆっくりと田んぼの畦道を歩きました。登呂ムラの歴史と、発掘のロマン、そして再現された弥生時代の風景の中で走りまわっている現代の子どもたち。登呂公園でたたずんでいると、まるでいくつもの時代を行き来しているような不思議な気持ちになりました。

 

インフォメーション

企画展「静岡の水田遺跡(~6月29日)」が開催されています。

 

●アクセス

静岡県静岡市駿河区登呂5-10-5
TEL 054-285-0476
JR静岡駅南口からバス「登呂遺跡」行き、終点下車
体験を希望される場合は必ず下記オフィシャルサイト等で事前確認をお願いいたします。

http://www.shizuoka-toromuseum.jp/