東京・目黒区の住宅街にあるアクセサリーミュージアムでは、企画展「ラペリスフラワーの世界~華麗、格調高き創作フラワー~」を、2014年2月2日まで開催しています。
目黒区の住宅街の一角に「アクセサリーミュージアム」はあります
大理石の花「ラペリスフラワー」が並ぶ企画展示室
ラぺリスとはラテン語で「石」を意味し、ローマの大理石のような豪華なイメージを花に託し、オリジナルの石粉粘土から作られたアート作品がラぺリスフラワーです。ラぺリスフラワーの特徴は、単に花の美しさを造形化したのではなく、その花が持つ“らしさ”を表現している点です。今回の企画展では、ラぺリスフラワーを考案した竹野智枝(アトリエ智 主宰)さんらの作品が展示されています。常設展でさまざまな年代の個性的なコスチュームジュエリー(ファッションジュエリー)を見た後、最後の展示室に現れるラぺリスフラワーは、クリスマス&新春にふさわしい華やかな企画展です。
輝きと美しいツヤがありまさに大理石の花とも言えるラぺリスフラワーは、インテリアとして部屋に飾ると、パっと明るく高貴な華やぎをもたらしてくれる品の良さが感じられるアート作品です。ユリとグリーンローズがモチーフになっている竹野智枝さんの新作『願いをこめて』は、新素材の採用により、さらに透明感のある作品に仕上がっているので注目です。
また、これまではインテリアとしてのラペリスフラワーの制作がほとんどでしたが、この企画展に合わせ、田中元子館長が「身に付けられるラペリス」の制作をリクエスト。それを受けて今回はじめてコスチュームジュエリーの制作が行われ、初お披露目となるラペリスのコスチュームジュエリーも展示されています。
竹野智枝さんの新作『願いをこめて』
スイートピーとエンドウのかわいい取り合わせと、やさしい色合いが女性を魅了する作品
ラペリスのコスチュームジュエリーに関しては、約50年もの間コスチュームジュエリーの製造、販売に携わってきた田中館長が、プロの視点でデザインやカラーをアドバイスしたそうです。そのため大きなラぺリスフラワーとは異なる魅力があります。スイートピーとエンドウの取り合わせがかわいい作品、清楚で愛らしいデイジー作品、珊瑚とパール、ラぺリスの異素材をコラボレーションさせた作品などを見ると、デザインだけでなくやさしい色合いにすっかり魅了されてしまいます。
制作者は長い人で30年以上のキャリアを持ち、ほとんどが60代以上の女性だそうですが、どの作品を見てもみずみずしい感性の豊かさが感じられます。いつまでも若々しい心と、かわいいものに敏感な乙女心もしっかり持っている女性たちが作り出すアート作品は必見です。
制作者の乙女心が感じられる、可憐なデイジー作品
常設展では、年代別にさまざまなコスチュームジュエリーを見ることができます
企画展のほか、常設展も少しご紹介しましょう。アクセサリーミュージアムを訪れる人は、コスチュームジュエリーの好きな人、ファッションスクールの生徒、ものづくりに携わる人などさまざまですが、あるデザイナーのファンも全国からやって来るそうです。
そのデザイナーとは、アメリカでもっとも有名なコスチュームジュエリーデザイナーのミリアム・ハスケル(1899~1981)です。日本でも彼女のファンは多く、ミュージアムに来るなり早々、また電話でも「ミリアム・ハスケルのジュエリーはありますか?」と質問されることが多いそうです。一人のデザイナーを目当てにミュージアムを訪れるのは、シャネルかハスケルのファンどちらかだと言えば、ハスケルを知らない人も、ハスケルがファッション界においてどれほどの存在であるかが容易に想像できるでしょう。
日本でもファンの多いミリアム・ハスケルのコスチュームジュエリーが充実しています
グラスビーズやイミテーションパールを針金で留めた、豪華なミリアム・ハスケル作品
ハスケルは1924年にニューヨークでコスチュームジュエリーサロンをオープンし、その2年後に自身のブランドを発表。エレガントで華やかなハスケルの作品は、社交界やファッション界で一躍有名になり、コスチュームジュエリーという分野を確立しました。ハスケルは最高の素材にこだわり、素材をそれまで接着剤で留めるのが主流だったのを、細いワイヤーで台座に留めることで、クオリティーの高い豪華なコスチュームジュエリーを作り上げました。
アクセサリーミュージアムを訪れたら、ここでしか見られないミリアム・ハスケルのコレクションにもぜひ注目してみてくださいね。
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インフォメーション
2010年に開館したアクセサリーミュージアムは、コスチュームジュエリー(ファッションジュエリー)に特化した美術館です。1850~2000年代に至る近代ファッションのコスチュームジュエリーを、時代ごとに区分された展示室で当時のファッションや調度品の数々とともに見ることができます。
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●アクセス
東京都目黒区上目黒4-33-12
TEL 03-3760-7411
東急東横線「祐天寺駅」より徒歩5分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://acce-museum.main.jp/
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