珍石も集まればアート作品に見える「秩父珍石館」

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広い世界には様々な趣味趣向を持っている人がいて、高価な美術品や骨とう品、はたまた他人からは理解できないようなものを収集している人々がいます。今回は、埼玉県秩父市のあるコレクターの方が自らつくられた『秩父珍石館』を訪ねました。

 

右の建物が岸和田ずし、左の蔵が『珍石館』

 

珍石の数々がきれいに並んでいます

 

初代館長・羽山正二さんは、約50年も“石”を収集してきた方です。その姿かたちに惹かれた水石(すいせき)と出合ったことから、最初は水石を集めていましたが、あるときから違う石を集めるようになりました。それは、館内の一番目立つところにうやうやしく飾られている人面石です。レプリカの貯金箱までつくられ、館内でも販売されている「神童~かみのわらべ~」と名付けられた人面石は譲り受けたものですが、上野で開催された石の展示会に出展を依頼されたりもして、この神童をきっかけにしてどんどん人面石が正二さんのもとに舞い込むようになりました。正二さん自身も近隣の川や林で人面石を探すようになり、人面石の一大コレクションとなっていったのです。

 

正二さんは2010年に亡くなられ、現在は娘さんの羽山芳子さんが2代目館長として来館者に珍石館の案内をしています。隣接している『岸和田ずし』の女将でもある芳子さんが、快活に亡き初代館長の話をしてくれました。
「趣味を通りこして“道楽”ですよね。蔵まで建てて」と、笑いながら話される姿から、家族の理解もあったなかで正二さんは珍石集めをしていたのがわかります。お酒もタバコもしなかったから、唯一の趣味が家族から許されていたのかもしれませんね。
石を探す手間は掛かるけれど、拾ってくるのだからお金はかからない良い趣味なのでは?!と思われるかもしれませんが、それは違います。正二さんは、山に入るときは持ち主の家に手土産を、工事現場には一升瓶を下げて行ってお願いをしてから石探しに取り掛かり、黙って石を持ち帰るということは決してなかったそうです。また、石を購入する際は相手の言い値のまま値切らず買い取っていたので、石の収集といえども、なかなかの費用が掛かっていたようです。おまけに蔵まで建てて『珍石館』をつくったのですから、趣味を通りこして道楽だと家族に言われても仕方がありませんよね。

 

神童と二代目館長の羽山芳子さん

 

お土産に、神童の貯金箱はいかが?

 

さて、正二さんの50年のコレクションですが、館内にきれいに陳列されていて、一堂に会すると見事なアート作品です。石にピッタリ合っている木製の台は、正二さんの手づくり。石とあわせて、お手製の木彫り台座にも注目です。
壁一面のショーケースには人面石が並んでいて、アニメのキャラクターや有名人の名前が掲げられているものがあります。達筆なものは正二さんが書いたものですが、いかにも子どもの字などもあり、筆跡がバラバラなものは来館者が書いて残していったものだそうです。石は確かに人の顔に見えますが、それを誰もがわかる有名人に例えるのは至難の業。名前のない人面石はまだまだたくさんあるので、訪れる方は、命名にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

石に手ぬぐいを被らせる発想はスゴイ!

 

渋い有名人から若手お笑い芸人までさまざまな人面石があります

 

展示されている石以外にも、芳子さんが「まだこんなにあるのよー」と、段ボールの山や棚を指さして笑って教えてくれました。棚の中には、来館者の様子を見て、開けてお見せする内緒の珍石もあるそうで、チラっと見せてくれた珍石は、18禁のリアルな形のものでした…。ちゃめっ気たっぷりで、ユニークな2代目館長です。

 

ちなみに、美肌茶房編集部の私のお気に入りはコチラの2点

 

月夜のような大きな石と、古民家のような石を組み合わせて、「過疎の村」と題している作品。俳句は来館者からの贈りもの

 

『珍石館』というものの、珍石に混じって少しだけ古いカメラもショーケースに展示されています。それらは芳子さんのご主人(岸和田ずしの大将)の趣味のもので、ショーケースの下の棚にも数十台が収納されています。お父さんの収集を認めていたのに、ご主人の収集を咎めるわけにはいかないそうで、今度はカメラが増えていく一方。近い将来、珍石館にカメラのコレクションが加わるかも?!しれません。
人面石も館長も楽しい珍石館、ぜひ訪れてみてくださいね。岸和田ずしで美味しいランチを食べたあとで、ゆっくり珍石館を見学するのがおすすめですよ。

 

アンモナイトや砂漠のバラなど、世界各国の石もあります

 

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インフォメーション

秩父珍石館は、平成2(1990)年6月にオープンした、個人のコレクション館です。埼玉県秩父市の羽山正二氏が、自身で採ってきたり、購入したり、譲ってもらったりした水石、人面石、化石、ありとあらゆる石が展示されています。

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●アクセス

埼玉県秩父市上影森764-6
TEL 0494-24-7288(岸和田ずし)
秩父鉄道「影森駅」より徒歩10分

http://www006.upp.so-net.ne.jp/chinseki/

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