人形の世界に夢中になる「横浜人形の家」

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横浜・中華街のすぐそばに、世界各国の人形に出会える場所があります。「横浜人形の家」をはじめて聞いたとき、古めかしい館に不気味な人形が並んでいそうなちょっと怖い雰囲気の博物館を想像しましたが、英語で記すと「YOKOHAMA DOLL MUSEUM」とどこか陽気な感じになるように、実際に行ってみると、そこは驚くほどポップで明るいところでした。
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入館してすぐの展示室「ノスタルジック・ハーバー」では、横浜と人形の関わりを紹介しています。
横浜の開港により西洋文化が入り日本の近代化が進みましたが、米国では日系移民が米国人の雇用を脅かすとして、排斥運動が強まりました。そこで、親日家のギューリックという博士が、“世界の平和は子どもから”とスローガンを掲げ、日米の親善を図るために人形を送ることを計画。全米から1万2千体もの人形が集まり、昭和2年、ひな祭りに間に合うように日本へ送られました。日米の親善大使「青い目の人形」が到着したのは、横浜の港でした。また、青い目の人形のお返しに「答礼人形(友情人形)」が米国へ送られたのも、横浜からでした。このように、港町・横浜と人形には長い歴史と関わりがあったのです。

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イベントや企画展も多く、何度行っても楽しめる「横浜人形の家」

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『赤い靴』のイメージで創られた、どこかもの悲しげな赤い靴を履いた女の子の人形

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ノスタルジック・ハーバーの目立つところには、野口雨情の童謡『赤い靴』のイメージで創られた、赤い靴を履いた女の子の人形があります。子どもの頃によく聞いたり歌ったりしたこの童謡、皆さん覚えていますか。赤い靴を履いていた女の子が、異人さんに連れられて行ってしまったという内容です。メロディと歌詞の物悲しい雰囲気が、「横浜人形の家」と最初聞いたときよみがえり、人形の怖い博物館かも?!と思ったのかもしれません。

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続いての展示室「ワールドフェスティバル」では、約140の国と地域の人形が勢揃いしています。日本各地の郷土人形も展示されていて、同じ国でも地域によって人形の趣が異なるのですから、世界の人形を見ると材質・姿形・衣裳などさまざまで、文化の多様性が感じられます。たくさんあるので、どの国のどんな人形が良いか、自分のお気に入りを探してみるのも楽しいですよ。

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ワールドフェスティバルでは、人形を手に取って楽しめるコーナーがあります

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「だるまさんがころんだ♪」と言いながら遊びたくなる、パラオの人形

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次の展示室へ向かう階段にも趣向が凝らされていて、「ドールメモリー」と名付けられた壁面には、子どもが人形とともに写っている写真が展示されています。撮られていることにも気付かず人形遊びをしている写真、お気に入りの人形を抱えている写真、ひな飾りの前での記念写真などを見ながら、子どもの頃は人形がいつもそばにあったことや、人形と共に過ごした日々が自分にもあったことを思い出し、人形と一緒に幼少時代のさまざまな記憶がよみがえってきます。

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ヒゲの青さ&ほうれい線がリアルな、ヨーロッパのおじさん人形

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幼少時代、そばにはいつも人形がいたこと思い出すドールメモリー

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ドールメモリーで思い出にひたりながら上階に行くと、次は「コレクションモール」です。芸術性の高い人形や古典人形、名品が、日本と西洋にわかれて展示されています。日本の人形の中でもユニークなものが、「御所人形(ごしょにんぎょう)」です。ご覧いただくとわかるように、今の言葉でいうならば「キモカワイイ」人形です。当時の人々は、この人形を純粋にカワイイと思うセンスを持っていたのでしょうか?? 不思議です。
この色白で三頭身のふくふくとした体型の幼児姿の御所人形は、江戸時代に京都でつくられるようになった人形です。役人が届けた贈り物への御所からのお返し、参勤交代時の西国大名の挨拶に対する公家からの返礼などとして贈られていました。明治末期に、京都で呼ばれていた御所人形という名前に統一されましたが、当初はいろいろな名前で呼ばれていたそうです。「お土産人形」「お雛人形」「白肉人形」など、どれも適当に付けられたような名前よりは、確かに御所人形がいちばん良いでしょう。白肉人形なんて、シュールすぎますよね。
西洋の人形の展示では、日本の人形とはうってかわり、白い肌にピンクの頬が愛らしいビスクドールが出迎えてくれます。御所人形や市松人形などの日本の人形を見た後では、あまりのギャップに、ワールドフェスティバルで感じた文化の多様性を、改めてここで再確認することになります。

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夢に出そうなキモカワイさの御所人形

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コレクターも多い西洋のビスクドール

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いつのまにか人形を手放して子どもを卒業しましたが、そばでじっと話を聞いてくれたり遊び相手になってくれていた人形。そんな子ども時代を思い出す懐かしい人形や、昔むかしの貴重な人形、世界の知らない国の人形など、横浜人形の家へさまざまな人形との出会いを楽しみに出掛けてみてください。ご紹介しました常設展のほか、1月26日から3月24日までは企画展『館蔵ひな人形展』も開催していますよ。

 

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インフォメーション

横浜人形の家は、「横浜発・世界の人形ふれあいクルーズ」をコンセプトに、世界各国から集めた民族人形、国内の郷土人形、人間国宝による創作人形、西洋・日本の芸術性の高い人形など、約3500点以上もの人形を展示しています。

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●アクセス

神奈川県横浜市中区山下町18
TEL 045-671-9361
みなとみらい線「元町・中華街駅」より徒歩3分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://yokohama-doll-museum.com/

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