寒天

 

日本人は民族特有の食文化を通してユニークな料理法や調理道具、そして食品を産み出してきました。寒天はその一つで、厳しい冬の寒さを利用して作った優れた保存食です。

 

テングサ、フノリ、オニクサなどを原料の藻として、これを洗浄してアク抜きした後、半日ほど煮熟してこし、これを木型の枠に入れておくと藻から抽出された粘りのある多糖類が固まる。それを冬の寒い夜、外に出すと凍結し、日中は太陽光により溶けて、夜また凍結する。これを繰り返すとそのたびに水と一緒に不純物が除かれて、次第に乾燥した製品となる。使用した原材料の藻から平均して約25%の寒天が得られます。

 

寒天の始まりは、江戸時代中期に京都伏見にあった旅館の主人がトコロテンの残りを、冬の寒い夜、外に捨てておいたところ、それが脱水乾燥して干物状となったのが最初と伝えられています。その後、信州で研究、製造が行われました。角型の棒寒天は長野県で、細い紐状の糸寒天は主に岐阜県で生産され、今日に至ります。

 

寒天の用途は食品加工用(羊羹、ゼリー、ジャム、乳製品など)、工業用(塗料、糊など)、医薬用(緩下剤、医薬カプセルなど)、化粧品用(シャンプー、乳化剤など)と多岐にわたっています。

 

運動が不足しがちな現代、日頃の食事に関わる生活習慣病予防が課題となっていますが、寒天は食品の中でも食物繊維が最も豊富で、少ない量でも満腹感を得られて、便通も促すことから健康食品としても注目されています。

 

食物繊維の豊富な食事をとると、食品が消化吸収される速度が遅くなり、血糖値もゆっくり上がります。そのため、インスリンの量や働きが少ない糖尿病の人でも、その人の処理能力の範囲内で血中のブドウ糖を細胞にとり込みやすくなります。
また、食物繊維には、インスリンを出す器官を刺激し、インスリンの分泌そのものを促す作用もあるといわれています。これらの働きにより、食物繊維は血糖値を下げ、糖尿病を改善するのに役立つと言われています。

 

【参考資料・web】

「食と日本人の知恵(著:小泉武夫)」岩波現代文庫
長野県寒天水産加工業協同組合(寒天の里)HP