鬼子母神と手づくり作家に会いに、雑司ヶ谷へ行きましょう

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安産・子育の神である鬼子母神をお祀りするお堂

 

豊島区雑司ヶ谷は、少し足をのばすと騒々しい池袋があるとは思えないほど、神社、仏閣、霊園のある静かな町です。その雑司ヶ谷の名所といえばココ!と言えるほど有名な「鬼子母神堂」を今回はご紹介します。

「鬼子母神(きしもじん)」という名を聞いたことのある人も多いと思いますが、漢字を見てのとおり、鬼子母神は安産・子育(こやす)の神様です。それなのに名前に「鬼」がついているなんて、不思議ですよね。

 

菩薩形の美しい姿の鬼子母神像

 

樹齢約700年の「子授け銀杏」

 

その昔、鬼子母神はインドの王舎城(オウシャジョウ)の夜叉神の娘として生まれ、訶梨帝母(カリテイモ)と呼ばれていました。嫁いだ後は多くの子どもを産みましたが、性質が荒く近隣の幼児を襲って食べるので、人々から恐れられていました。
過ちを犯し続けるカリティモをなんとかして救おうしたのが、お釈迦様です。お釈迦様が何をしたかというと、カリティモの末の子どもを隠してしまったのです。そして、嘆き悲しむカリティモに向かって、「千人のうちの一子を失うもかくの如し。いわんや人の一子を食らうとき、その父母の嘆きやいかん」と戒めたのです。そこではじめて、今まで自分が犯してきた過ちをカリティモは悟り、お釈迦様に帰依し、その後は安産・子育の神になることを誓いました。
「そんなに簡単に安産・子育の神になれたの…」と思ってしまいますが、それはさておき、以後、カリティモは人々に尊崇されるようになったのです。

鬼子母神は菩薩形の美しい姿をしているので、正式には「鬼」は角(つの)が付かない字を使うそうです。
境内には鬼子母神像があり、その姿を見ることができます。美しいかどうかは感じ方それぞれですが、お詣りしたら何がなんでも約束を果たしてくれそうな、義理堅さが感じられる頼もしい顔立ちをしていますよ。

鬼子母神堂が安産・子育のパワスポと言われている理由は、他にもあります。境内にある高さ約33m、幹の周囲は約11mもの大公孫樹(おおいちょう)は別名「子授け銀杏」と言われ、触れると子宝に恵まれると信じられてきました。東京都指定天然記念物で、樹齢700年もの立派なご神木です。現在は柵があって近づくことはできませんが、柵越しに手を合わせに来る女性やご夫婦が後を絶ちません。

 

さて、この鬼子母神、パワスポとしてではなく、あるイベントの開催地として近年は知られるようになりました。

 

2006年から鬼子母神では、つくり手とそれを求める人々が集う場「手創り市」が開催されています。自ら制作したものを展示、販売することが出展の基準で、アクセサリーやバッグ、衣類、陶器、靴、木工品、パンやお菓子など、さまざまな手づくり品が集結します。何も知らずに行くと、会場の雑多な雰囲気や人混みがフリーマーケットのようですが、並んでいる製品を見ると、まるで異なることがすぐにわかります。まず、一つひとつ丁寧に、大切に陳列されています。プライスカードやポップですら、どれ一つとっても手抜きがありません。

 

手創り市は、すぐそばの鬼子母神とゆかりのある大鳥神社も会場になっています。
大鳥神社は、もともと鬼子母神の境内に鷺明神として祀られていましたが、明治の神仏分離によって鬼子母神を氏神にはできなくなったため、鷺明神を大鳥神社と改称して分離し、氏神としたいきさつがあります。

 

鬼子母神からもほど近い大鳥神社

 

月に一度の「手創り市」には、朝から大勢の人が詰めかけます

 

ちょっと離れたところから見ると、まるでフリマのような雰囲気。宝探しのように、自分の感性と同じつくり手さんを見つける楽しさがあります

 

月に一度開催されている手創り市は、鬼子母神と大鳥神社の2会場とも、午前9時のスタートから大勢の人で賑わいます。どれも手づくりで数に限りがあるので、特にお目当てがなくても早い時間に行った方が、いろいろなモノを見ることができますからね。
手創り市のよい点は、なんといってもつくり手の顔が見えるところ。製品が生まれたいきさつ、こだわり、使い方、メンテナンスの仕方など、いちばんよくわかっているつくり手が目の前にいるのです。ちょっと気になるモノを見つけたら、話をしてみたくなります。つくり手の方も、自分の作品に興味を持ってもらえたら嬉しくて、どんどん話をしてくれます。作品への思い入れが伝わってくると、購入して帰った後も、ずっと大事に使おうという気持ちになるのが、普段の買い物と違うところです。

 

たくさんのつくり手、手づくり品と出合うことで、帰り道には、自分にも何かできるんじゃない?やってみよう!という気持ちがムクムクわいてきます。
鬼子母神に会いに出掛けるなら、手創り市の開催日がおススメです。手づくり品の買い物を楽しみながら、大勢のつくり手のパワーに触れてみてください。思いがけず、自分の中にある創作意欲が刺激されて何かを生み出すきっかけになるかもしれませんよ。

 

足を止める女性が多かった、素朴で温かみのある器や陶製のアクセサリー

 

津軽の伝統刺し子技法の「こぎん刺し」雑貨。まさに手づくりの品々です

 

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アクセス

東京都豊島区雑司ヶ谷3-15-20
TEL 03-3982-8347
都電荒川線「鬼子母神前駅」、地下鉄副都心線「雑司が谷駅」より徒歩5分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。
(鬼子母神)http://www.kishimojin.jp/
(手創り市)http://www.tezukuriichi.com/
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