ド迫力のゑんま様に会える「深川ゑんま堂」

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全国にゑんま様をお祀りしている寺院は数あれど、深川のゑんま様ほどインパクトのあるゑんま様はほかにないでしょう。今回は、にぎやかな下町・門前仲町にふさわしい?!超個性派ゑんま様に会いに行ってきました。

 

まずはゑんま様の写真を見てください。この鮮やかな色使い! ゑんま像に限らず、たいていどこの仏像も木肌そのままの色ですが、このゑんま様に限っては違います。見事な彩色が施されているのです。怒り心頭で顔が上気しているからなのか、ゑんま様の鬼の形相に真っ赤な色がついていることで凄味が増しています。

 

平成元年(1989年)に現在のゑんま座像は建立されたばかりですが、法乗院ゑんま堂の歴史は古く、寛永6年(1629年)に東京・江東区の深川富吉町に創建され、その12年後に現在の場所に移りました。江戸時代中期には、四国八十八ヶ所霊場の写し霊場として江戸に設けられた御府内八十八ヶ所の第74番目の札所になり、江戸三えんま「深川ゑんま堂」として親しまれてきました。

 

入って正面が地獄・極楽図のある本堂、左手にゑんま堂があります

 

この奥にゑんま様が鎮座されています

 

深川のゑんま様は、色が付いているというだけでなく、日本最大の閻魔大王座像でもあります。寄木造りで高さ3.5m、幅4.5m、重量1.5tものド迫力。毎月1日と16日は御開帳で、ゑんま様の傍らまで近付け、その雄姿を見上げることができます。

 

ゑんま様の前に賽銭箱があるのですが、その数なんと19個! 親切なことに、祈願ごとに分かれているのです。いちばん目立つ真ん中にあるのは、ゑんま堂ならでは?!の「うそ封じ」祈願のほか、「家内安全」「合格成就」「夫婦円満」「いじめ除け」「ぼけ封じ」などがあり、自分が祈願したいところにお賽銭を投入するようになっています。

 

色鮮やかな巨大ゑんま様はド迫力

 

極楽浄土を思わせる場に、鬼の形相でゑんま様はいらっしゃいます

 

お賽銭を入れると…
どこからともなく説法が流れてきます。日本初!自動で御仏から様々な説法を聞くことができる画期的なシステムが取り入れられているのです。いつのまにか寺院も進化しているようです。

 

ゑんま様に関してどんなことを知っていますか?
ウソをついたら舌を引っこ抜く…。子どもの頃に聞いた話しで、ゑんま様のそんな恐ろしい部分しか覚えていない人が多いかもしれませんが、それはゑんま様の一面であって、本来の姿はどうやら違うようですよ。

 

本堂の壁一面に、天明四年(1784年)に江戸の宋庵という絵師によって描かれた16枚の地獄・極楽図が並んでいます。そのうちの1枚に、ゑんま様が目を見開いた怖い顔でドーンと座っている絵があります。
人は亡くなったら冥途(死者の霊魂がいく世界)へいき、閻魔大王(ゑんま様)を中心とした十人の王によって裁きを受けるそうです。十王の本来の姿は菩薩で、裁判中はやさしい姿を隠して憤怒の身を現し、初七日から七十七日、一周忌、三周忌に至るまで、次々に亡者を受け取りその罪業を考査して未来に生まれるところを定めるのです。
16枚の絵は、裁判中の怖いゑんま様の絵以外に、悪事を重ねることの恐ろしさ、善い行いを積むことの必要性、御仏の慈愛、命の尊さを説いています。

 

どこにお賽銭を投入しようか悩む19の祈願ごと分けられている賽銭箱

 

本堂で見ることができる地獄・極楽図

 

ゑんま像の前の賽銭箱にお金を投入すると流れてくる説法でも、御仏の教えの根本理念は因果応報にあり、悪行を積めば悪い結果に、善行はよい結果になるように、人間は生きている時の行いが全ての原因になるということを諭す内容が流れてきます。

 

「自己中心の考えが人生の苦労を生むのです。自分本位を捨て、森羅万象と生きる道を考えることができるようになった時、御仏の心が得られるのです。」
「ご利益をいただく、いただかぬと思い悩む前に、信心する心を喜ばねばなりません。信仰心の生まれることがすでにご利益なのです。」
「人間として生まれることは尊いこと。御仏の心を生まれながらにいただいているのです。この珠玉にも似た尊いものは、心の中の奥深くしまわれてなかなか表に現れません。これは善いと知りながらもそれを実行できない、悪いと知りながらもそれに流され直そうとしないから、だからこそ表に現れにくいのです。」

 

低音のイイ声で流れる説法。どのお言葉もわかりやすく明快です。心にやましいことがなければ、クワッと歯をむき出しにした鬼の形相のゑんま様の前に立っても、まったく怖くないはず。説法もすんなり耳に入ってきますよ。

 

本来の姿が菩薩とは思えないほど恐ろしい様で裁きを下しているゑんま様の図

 

さて、賽銭箱にお金を入れると説法が流れるシステム。気になっていろいろな硬貨を投入してみましたが、一円玉でも動作確認できました!
もう一つ気になったのは流れる説法の種類。「縁むすび」に5回連続で入れ続けてみたところ、すべて違う説法が流れました。その後に投じた「うそ封じ」も別の説法。どんな仕組みになっているのか気になるところですが、小銭が無くなったのと、後ろに人が並んだのであきらめました。

 

深川のゑんま様に会いに、ハイテク説法を聞きに、地獄・極楽図を見に、出掛けてみてくださいね。お出掛けの際はたくさんの小銭を忘れずに!きっとすべてに入れてみたくなりますよ。

 

アクセス

東京都江東区深川2-16-3
TEL 03-3641-1652
地下鉄東西線・大江戸線「門前仲町駅」より徒歩5分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.enma.or.jp/