晩秋の川を遡上するサケと出合う~千歳サケのふるさと館

実りの秋、北国の川にはサケたちが帰ってきています。今回は北海道の空の玄関口、千歳市にある日本最大級の淡水魚水族館「千歳サケのふるさと館」を訪ねてきました。

 

千歳市の西に位置する神秘の湖・支笏湖(しこつこ)。最大深度は363mで国内第2位、透明度も抜群で環境庁の水質調査では何度も日本一となっています。この湖から流れ出る千歳川は冷たく清らかな水をたたえて千歳の街を流れていきます。千歳の市街地、その川のほとりに建てられた千歳サケのふるさと館はサケと北方圏の淡水魚の生態を学べる水族館です。

 

外観

 

建物の裏手にある千歳川、サケ捕獲用の赤いインディアン水車が見える(写真中央)

 

1888年(明治21年)、日本で初めての官営千歳中央孵化(ふか)場が千歳川に出来ました。そして千歳川下流には遡上したサケを捕獲・採卵するためインディアン水車が設置され、そこで捕獲、採卵・受精された卵は、孵化及び養魚成育を目的としたきれいな水が確保できる上流の孵化場へと運ばれました。
これをきっかけに北日本ではサケの人工孵化放流事業が拡大しましたが、乱獲が絶えず増殖技術も未熟なため資源量は思うように増えませんでした。1952年(昭和27年)に水産資源保護法が制定されてからは国が中心となり積極的に増殖を推進したこともあり、1970年代以降、サケの漁獲量は飛躍的に拡大しました。
このようなサケ孵化事業の歴史と共に歩んできた千歳の町に1994年(平成6年)、観光施設として千歳サケのふるさと館はオープンしました。

 

サケの稚魚

 

サケのオスは鼻が曲がって見えるのが特徴

 

館内の目玉の一つが1Fにある巨大水槽。高さ5m、幅12m、総水量266tで淡水では日本最大級。サケやイトウ、ニジマス、シロチョウザメなどが悠々と泳いでいました。

 

同じく1Fには千歳川の源流・支笏湖に生息するヒメマス(チップ)やニジマスを展示する水槽があります。
続いては、支笏湖から流れ出た千歳川を追いかけるように上流、中流、石狩川と合流する河口付近まで、流域ごとの魚や生態の違いを観察できる千歳川渓流水槽という実にユニークな展示もあります。この水槽に沿って見学通路を上流から歩くと、魚たちの気分を少しだけ味わえるかもしれません。

 

大迫力の巨大水槽

 

いろんな淡水魚が展示されている、これは岩魚の仲間、北海道に住むオショロコマ

 

順路通りに歩いて地下フロアへ。「ふれあいプール」を囲む家族連れの賑やかな声が聞こえてきました。5mのほどの小さなプールに10cm前後の魚たちが泳いでいます。魚たちから寄ってくるように慣らしているそうで、子供が“グー”で握った拳をゆっくり水中に沈めると不思議と魚が集まってきました。大人も喜ぶ、魚とのふれあい体験です。

 

千歳川の上流域から下流域、それぞれの生態系を学べる水槽

 

ふれあいプール

 

地下から伸びた廊下を歩き、少し階段を下りると、そこは千歳川水中観察室で館内のもう一つの目玉です。高さ1m、幅2mの7つの観察窓の向こうには本物の千歳川が流れていて、ガラス越しですがそこを泳ぐ魚たちの様子を目の前で見ることが出来ます。
入館してからこれまで水槽にいる魚たちをたくさん見てきたので、ここも同じ“展示”と錯覚しそうですが、ガラスの向こうはリアルな自然の生態です。その証拠に右手の上流から左手の下流へ、木の葉や小枝が流れていきます。それもかなり早いスピードで。この水をかき分けて遡上するサケの力、その力強さに驚かされます。ガラスの縁は水流が弱いためか、20cm前後のウグイが群れをなしていて、休憩しているようでした。この日は少ないでしたが、遡上してきたサケの大きな魚体を拝むことも出来ました。川の水面からサケの魚影を見たことは以前にもありましたが、水中カメラマンのように同じ目線で、生きたサケと出会えたことに正直感動しました。

 

水中観察室へと続く廊下

 

ガラスの向こうが本物の川、流れはかなり早い!

 

サケの一生ですが、河口から遡上してきたサケは上流の産卵場所を目指します。産卵場所にたどり着くと、メスは尾びれで川底の砂利を掘って産卵床を作り、2,500~3,000個もの卵を産みます。産卵後、メスは卵を自分の体でおおって守りますが、体力の消耗が激しく1週間前後でその生涯を終えてしまうそうです。

 

孵化したサケの稚魚は海へ下ります。海へ下ったサケたちは、日本からはるか遠くのベーリング海からアラスカ湾までの広い海を回遊しながら、どんどん成長していきます。大人のサケになるまで約1万キロメートルもの距離を回遊すると言われています。

 

成熟期に近づくと、不思議なことに自分の生まれた川を目指して泳ぎはじめます。どのようにしてサケたちが故郷の川を探し当てるのか、実は詳しいことはまだわかっていません。

 

アクセス

千歳市花園2丁目312
TEL 0123-42-3001
JR千歳駅から徒歩10分
詳しくは、下記オフィシャルサイトをご覧ください。
https://www.city.chitose.hokkaido.jp/tourist/salmon/