太古の神々の住まう域「枚岡神社」

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枚岡神社の創建は神武天皇紀元前3年、神武天皇の命にて、当時その侍従であった天種子命(あめのたねこのみこと)が国土の平定を祈願するため神津岳(かみつだけ)に天児屋根命(あめのこやねのみこと)と比売御神(ひめみかみ)の2柱を祀ったことをその始まりとしています。長らく神津岳に祀られていた2柱ですが、孝徳天皇の白雉元年(650)に平岡連らによって山頂から中腹の現在地に移されました。のち神護景雲2年(768)に春日大社へその2柱を分祀すると、宝亀9年(778)には春日大社から武甕槌命(たけみかづちのみこと)と経津主命(ふつぬしのみこと)の2柱を迎えて4柱を祀る社となりました。
なお枚岡神社の名の起こりは当初祀られた神津岳の頂が平らだった由、加えて当社が別名「元春日(もとかすが)」と称されているのは上にあるよう春日大社と枚岡神社で同4柱が併祀されていることによります。

 

春日大社の第1殿には鹿島神宮から春日山へ奉遷した武甕槌命が祀られていましたが、枚岡神社の第1殿には天児屋根命が祀られています。天児屋根命と言えば岩戸隠れのお話が有名ですね。祝詞をよむなど、岩戸に隠れた天照大神を呼び出す上でとても重要な働きを行いました。その働きが認められたのか、後には高皇産霊神(たかみむすひのかみ)や瓊々杵尊(ににぎのみこと)といった名だたる重鎮の勅令を受け、その悉くを果たし、やがては大いなる尊崇を込めた「天孫輔弼(てんそんほひつ)」の神とも称えられるようにもなりました。

 

参道

 

枚岡神社は神事や祭典が大変多く、それは天児屋根命が初めて祭を執り行った神事宗源(しんじそうげん)の神としても尊崇されていることと無縁ではないでしょう。実際ざっと見ただけでも春夏秋冬途切れることなく何事かの祭が行われています。例えば12月25日に催される注連縄掛(しめかけ)神事。誰でも参加可能なお笑いコンテストや宮司の笑いに続いて、皆でおよそ20分間笑い続ける催しは注連縄掛神事が通称「お笑い神事」と称される所以ともなっています。また神事の底では岩戸開きのエピソードとつながりがあり、つまりは一年間の艱難辛苦を全て笑って流して、閉ざされた心の岩戸を開けてやる意を象徴させています。なお10月14日(宵宮)、15日に催される枚岡神社秋郷祭もとても有名ですので、頃相を見計らって参拝されてはと思います。

 

二の鳥居から続く200メートルほどの参道を進むとやや傾斜の強い石段が見えてきます。その半ばで顔を上げると銅板葺きの見事な拝殿が目に迫ってくるでしょう。現在の拝殿は明治12年に新築されたもので、元々は檜皮葺きの建物でしたが平成の修造によって新たに銅板へと葺き替えられました。ここから本殿に願いを届けます。現在の本殿は、文政9年(1826)に、近郡の氏子の奉納によって造営されたもので、幾多の災害を繰り返すもそのたびごとに有力者の手により復旧されてきました。建築様式は、極彩色の枚岡造で右から2殿(比売御神)、1殿(天児屋根命)、3殿(経津主命)、4殿(武甕槌命)が並列しています。ご利益は立身出世、加えて厄除け、また国家安泰にも寄与しているのは天児屋根命が「マツリゴト(=政治)」を司っていたからだと言われています。

 

二の鳥居。現在のものは昭和54年に竣工

 

拝殿

 

そして、その並ぶ4殿脇には御神木として柏槙(びゃくしん)と称するイブキ科の樹木が植えられています。社伝によれば白雉元年に現在地へ2柱が移された折、神津岳の山頂にておおいに育っていた柏槙の大木の枝を切って挿し木したものだとされています。残念なことに昭和の第二室戸大風の影響で損傷し、昭和40年代になって伐採されてしまいました。現在は高さ3メートル程ですが、元々は周囲が6.5メートル、高さは25メートルにも及ぶ大変な巨木であったようです。

 

御神木柏槙

 

拝殿から右奥へと歩を進めると、両脇に高い木々が立ち並ぶ参道が現れます。なぜかこの巽参道とも称される場所に足を踏み入れた途端、艶っぽく感じられました、そのゆえはおそらく道の東側に広がる緑を深めた「宝基の森」にあるのでしょう。古来より神と人が出会う聖域であるとされ、そのご利益にあやかるためか取材に訪れた日にも参拝者が確かな足取りで起点の石からお百度参りを行っていました。その意志の強い二つの眼差しが捉えるのは、その先、巽参道の奥で咲き誇る枚岡梅林の白と赤。

 

巽参道

 

摂社若宮社。水に関連した神様を祀られているためか、左奥にある「出雲井」(いずもい)と称する井戸からは、古くより神聖な水が湧き続けています

 

摂末社天神地祇社。国津神が祀られています

 

祓場。宝基の森から湧き出る水が滝となって落ちています

 

枚岡梅林は明治の頃、廃寺となった跡地に梅樹を植えたことを始まりとし、毎年2月から3月にかけて、まことに見事な梅の花が見頃を迎えます。白加賀梅や緋梅(ひばい)に南高梅(なんこううめ)、その他多くの梅の花がつぼみも含めてこの梅林に息づいていますので、参拝を終えた後はゆったりと風に華やぐ植生を見ながら間もなく訪れる初春の足音を聞いてみるのもよいですね。

 

月影。花の形を水に映る月に見立ててこの名がつけられました

 

みちしるべ。梅の中でも早咲きの品種として知られています

 

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アクセス

大阪府東大阪市出雲井町7-16
TEL 072-981-4177
近鉄奈良線枚岡駅下車すぐ
詳しくは、下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.hiraoka-jinja.org/index.html
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