迫力満点のコンクリート像から元気をもらう!〜愛知県日進市・五色園

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今回は愛知県の隠れたパワースポット、五色園(ごしきえん)を紹介しましょう。「隠れたパワースポット」としましたが、実はここ、知る人ぞ知る“珍スポット”でもあります。

 

園内奥にある大安寺本堂。平成10年秋に建立と、まだ新しい

 

五色園は、20万坪という広大な敷地に設けられた日本唯一の宗教公園です。正式名は「五色山大安寺」。浄土真宗の開祖である親鸞聖人の教えを視覚的に伝えようと、大安寺初代管主・森夢幻が昭和9年(1934)に設立しました。そのため、園内には親鸞の生涯を再現するコンクリート製の塑像が点在しています。

 

本堂の北側に立つ、五色園を設立した初代管主・森夢幻の像

 

また「五色」の名は松・竹・梅・桜・紅葉の5種類の樹木にちなんで付けられたもので、四季折々の自然を楽しめます。なかでも桜は約3,000本もあり、満開となるころは実に見事の一言。多くの人が散策に訪れています。

 

さて“珍スポット”と呼ばれるゆえんですが、これは、先にふれた親鸞の生涯を再現した100体以上もの塑像にあります。塑像の作者は浅野祥雲(あさのしょううん)。等身大のコンクリート像で知られる作家です。明治24年(1891)、岐阜県坂本村(現中津川市)に生まれました。土人形職人だった父親の影響で自身も制作を始めますが、のちにコンクリートによる等身大の塑像に取り組むようになり、独特のスタイルを生み出します。87年の生涯に制作した塑像の数は1,000体以上と言われていますが、詳細はわかっていません。現存する作品は五色園のほか、桃太郎神社(愛知県犬山市)や関ケ原ウォーランド(岐阜県関ケ原町)などで見ることができます。

 

夜盗耳四郎聞法の場。夜盗の耳四郎を仲間が殺そうとすると、金色の仏様に変わったという

 

祥雲の作品の特徴は、リアルの中にある稚拙さ、躍動感、豊かな表情。どれも一度見たら忘れられない強烈なインパクトを放っています。大きさは等身大というより、実際はその1.5倍ほどで迫力満点です。けれども、どこかユーモアもたたえていて非常に魅力的。熱心な祥雲ファンが多いのもわかります。

 

日吉丸矢作橋出世の糸口。なぜか日吉丸(豊臣秀吉)のエピソードも再現されている

 

弁円悔悟。親鸞を殺害しようとして失敗した山伏たちが、親鸞に諭されひれ伏しているところ

 

五色園の塑像は、おもに親鸞にかかわる数々のエピソードを再現しています。例えば、親鸞が幼いころを描いた「月の宴」。親鸞は平安時代の貴族の家に生まれましたが、2歳になってもまったく口をききませんでした。人々が奇異を覚えるなか、8月の十五夜に開かれた月見の宴で、親鸞は突如月を拝み「なむあみだぶつ」と一言唱えたそうです。親鸞がいかに非凡であるかを物語るエピソードですね。

 

月見の宴。父・日野有範(ひのありのり:写真左から2人め)の膝に座る幼い親鸞

 

1つの場面を再現したものばかりではありません。「夜盗耳四郎聞法の場」のように、いくつかの場面をつなげて物語を展開しているものもあります。親鸞の師である法然の法話を聞き念仏を唱える弟子たち。そして、それを縁の下で聞いて改心する夜盗・耳四郎。その後、耳四郎は仲間に殺されそうになったことを塑像が大きく生き生きと表現されているため、自分もまるでその中の一人になったような気持ちになります。

 

今回、筆者は徒歩で回りましたが、敷地がかなり広くて少々大変。また、人通りが少ない細道もあり心細いかもしれません。一番良いのは、車で見て回ることです。ただ、塑像は崖の上や茂みの中にもあるので、注意していないと見過ごしてしまう可能性も。五色園のオフィシャルサイトにある地図(園内場面)を片手に回りましょう。車の場合も、歩きやすい靴が良いです。

 

信行両座。門弟たちの話し合いの場に遅れてやってきた、弟子の一人・熊谷蓮生房

 

赤山明神貴婦人解逅。親鸞が26歳のとき、日叡山麓の赤山禅院で出会った不思議な女性

 

桜ヶ池大蛇入定の由来。大蛇と化した僧・阿門梨が、親鸞の師である法然から説法される

 

極彩色のペイントとも相まって、祥雲の塑像にはパワーがみなぎっています。一体一体から命が感じられるといっても言い過ぎではないでしょう。自然を感じながら、塑像を見て回ってください。きっといっぱいの元気をもらえるはずです。

 

縁結び弁財天女。池の真ん中にあるので見過ごしそう。ぜひ橋を渡って

 

不動明王尊。表情や手に持っている剣の形など、どことなくユーモラス

 

鹿ケ谷鈴虫松虫の剃髪得度。御仏の功徳を人々に説く法然や、その弟子たち

 

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アクセス

愛知県日進市岩藤町一ノ廻間932-31
TEL 0561-72-0006
地下鉄東山線「星ヶ丘」駅から名鉄バス「五色園」下車すぐ
くるりんばす(市内巡回バス)北コース「五色園」下車すぐ

詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://gosikien.nobody.jp
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