四国最大の名城「松山城」

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愛媛県松山市の中心部にある勝山(標高132m)にそびえ立つ松山城は山頂に本丸、中腹に二之丸、山麓に三之丸を置く平山城です。敵の侵入を防ぐため二之丸を取り囲むように山麓から本丸にかけて作られた「登り石垣」は全国的にも貴重な史跡。門櫓や塀、狭間、石落とし、高石垣などを巧みに配し、攻守の機能に優れた連立式天守を構えた美しい城郭です。

 

美しい天守を、本丸で見つけた名残の梅と共に

 

石垣も迫力満点

 

天正11年(1583)、現在の滋賀県長浜市にある賤ヶ岳(しずがたけ)付近で行われた羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)と柴田勝家との争いは賤ヶ岳の合戦といわれ、秀吉はこれに勝利することによって織田信長の作り上げた権力と体制の継承者となることが決定づけられました。この戦で武勲をあげたことで知られる賤ヶ岳の七本槍の一人、加藤嘉明が松山城の創設者です。

 

慶長5年(1600)の関ヶ原の戦いにおいては徳川家康側に従軍し、その戦功を認められて20万石となりました。それから嘉明は同7年、道後平野の中枢部にある勝山に城郭を築くための工事に着手、翌8年(1603)10月に嘉明は居を新城下に移し、初めて松山という名称が公にされました。その後も工事は継続され、寛永4年(1627)になって松山城はようやく一応の完成をみたのでした。

 

大天守は三重三階地下一階の層塔型天守で、黒船来航の翌年、安政元年(1854)に落成した江戸時代最後の完全な城郭建築です。

 

江戸時代には、全国に170箇所はあったとも言われる城郭も、江戸末期から明治にかけての戦乱、明治政府による廃城政策、また天災や第二次世界大戦での戦災などにより、数多くが失われました。江戸時代以前に建造された天守が今日残っているのは、全国で12城しかありません。これらは「現存12天守」と呼ばれています。貴重な歴史的文化遺産として国宝や重要文化財の指定を受けていて、松山城はその一つなのです。

 

初めて松山の街並みを歩きましたが、とてもコンパクトにまとまった暮らしの利便性を感じるスマート・シテイという印象でした。松山城を中心にJR松山駅、伊予鉄の松山市駅、県庁や市役所、繁華街が城下に集合していて、また松山空港もアクセス良く便利でした。

 

松山城は松山観光のシンボル。ただ、街中から見上げる山の上に城を見つけた時は、正直坂を登るのが少々不安になりました。でも、親切なことにロープウェイ(またはリフト)があって麓から城山の8合目あたりまで一気に連れて行ってくれるので、つい甘えてしまいました。

 

ロープウェイに乗って上がれます

 

袴姿の女性スタッフがご案内

 

降りてから10分ほど歩くと天守入口に到着。天守では最上階の三階まで急勾配の梯子で上がります。天守の内部には江戸時代の刀剣類や甲冑などが展示され、侍たちが実際に活躍していた当時に思いを馳せることができます。

 

天守内部で当時の甲冑が展示されていました

 

防御のため壁に開けた狭間(さま)、床には石落とし

 

眺望は大変素晴らしく四方を見渡すことができます。訪問した日は天候にも恵まれ、眼下に松山の市街地を、さらに遠くには穏やかな瀬戸内の海も見えました。そして反対側の山並みの後ろには、西日本最高峰の石鎚山の山々も拝むことができました。まさに風光明媚という言葉がふさわしい絶景を堪能しました。

 

眼下に松山の街を一望

 

松山城マスコットキャラクター よしあきくん

 

城を後にしてからは、路面電車に乗って道後温泉へ。
道後温泉は、日本国内でもひときわ古い3000年の歴史を有するわが国最古級の名湯。神話の時代から古代にかけては白鷺の伝説、大国主命と少彦名命の逸話、聖徳太子の来湯など数々の伝承が今に伝えてられています。

 

「道後温泉本館」は道後温泉のシンボルで、明治27年(1894)に落成しました。温泉街の中央部に位置、当時は豪勢な近代和風建築として温泉地の象徴として建てられましたが、現在もその役目を立派に果たしています。私も立ち寄り湯をいただきましたが、館内の大浴場では今も観光客や地域の人々が湯を浴びています。夏目漱石、正岡子規などにも愛されたアルカリ性単純泉の湯質は、きめ細やかな日本人の肌に合うなめらかなお湯で、美容にも良いといわれています。

 

道後温泉のシンボル、道後温泉本館

 

坊ちゃん電車も走っています

 

松山城は平成18年に「日本100名城」、平成19年には道後温泉とともに「美しい日本の歴史的風土100選」に選定されました。歴史を今に伝える美しい城や街並みを眺め、古湯を浴びてパワーをいっぱい充電させていただきました。

 

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アクセス

愛媛県松山市大街道3丁目2-46
TEL 089-921-4873(松山城総合事務所)
松山市内の路面電車で「大街道」下車、徒歩5分でロープウェイのりば着
詳しくは、下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.matsuyamajo.jp/
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