住宅街で彫刻に親しめる「長泉院附属現代彫刻美術館」

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東京・目黒の閑静な住宅街に、突如として現れる彫刻の数々。その彫刻は、散歩や街歩きなどの途中で偶然に彫刻に出合い、彫刻をもっと身近なものとして鑑賞し、楽しんでもらいたいとの思いから設置された、長泉院附属現代彫刻美術館の屋外展示です。
長泉院というお寺の住職だった初代館長が、“美術館”“彫刻”と身構えるのではなく、住宅街に入ったら彫刻があった、そしてそれは美術館だった…というスタンスで親しんでもらいたいと、30代の頃からコレクションしてきた彫刻を、長泉院の境内地に展示するようになりました。

 

気軽に親しんでもらいたい…とはいうものの、屋外展示場にあるものは、人物像をのぞくと「これは、なに??」と思わずにはいられない、不思議な形態の抽象的な彫刻ばかり。どういう意図でつくられ、なんの意味があるのかさっぱりわかりません。「彫刻って、むずかしい!」と思いながら、屋外展示場を後にして美術館館内に向かい、学芸員の阿部昌義さんにお話をうかがいました。

 

来館者から、抽象的な彫刻がわからない!と言われ、作品に関する質問をされることも実際多いそうです。「“芸術”と身構えて、一生懸命に理解しようとしなくてもいいんです」と阿部さん。
そもそも抽象的な作品は、存在感が強く、空間に占めている以上の影響を与えるのだとか。確かに、作品の大きさ以上の何かを、抽象的な作品は発しているように感じます。考えるのではなく、ユニークな形を見て自分が何を感じるのか、どんな想いが自分の中から出てくるのかを味わい、人物像などの具象的な作品とは違った、抽象的な彫刻のすばらしさを楽しんでほしいそうです。

 

長泉院附属現代彫刻美術館の展示スペースは広く、館内は1階、2階、屋外は第1から第4展示場まであります。彫刻は360度の芸術で、見るときの角度や天候、朝と夕方の光でも、まったく違う表情を見せるそうです。屋外展示場を設けているのは、自然の光の下で、その表情の変化を楽しんでほしいからです。館内で展示している作品も、2階は自然の採光を利用していて、見る時間帯により作品の美しさが変化し、1階は作品にスポットを当てた展示手法を取り入れています。展示スペースと時間帯によって、彫刻のさまざまな表情を楽しむことができます。彫刻に当たる光と、それによってできる影が、よりいっそう作品に深淵な存在感を漂わせ、彫刻は三次元の芸術だというのも頷けます。

 

美術館は駅から少し離れた坂の上にあるので、偶然通りかかったのではなく美術館をめざしてやってきた人たちは、彫刻とゆっくり向き合うことが多いそうです。坂を下って、地元の有名な美味しいランチやスイーツを食べて、また戻ってくる人もいるとか。そんな風にして気楽に彫刻に親しむ一日もステキです。

 

長泉院附属現代彫刻美術館では、4月20日から6月2日まで「石彫の現況2013」を開催します。美術館の所蔵作品作家が企画実行委員となり、彼らが推薦する20代から40代の作家の発表の場となる企画展示です。作家が注目する、期待の若手8名の作品もぜひ見に行ってみてくださいね。

 

以下の写真の作品は全て長泉院附属現代彫刻美術館の所蔵です。

 

目黒の住宅街に現れる「長泉院附属現代彫刻美術館」

 

館内の2階は、自然光で彫刻を楽しみます

 

舟越桂さんの作品を見たくて、全国から来館する人も多い

 

館内の1階は、スポットの光で彫刻を見ます

 

手前の花崗岩の椅子はくるくる回り、近所の子どもたちに人気だとか。大人もここに座ってくるくるしながら、彫刻を楽しみましょう

 

清々しい屋外展示場。彫刻のように、伸びをしたくなります。遠くには六本木ヒルズや東京タワーも望めます

 

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インフォメーション

長泉院附属現代彫刻美術館は、宗教法人長泉院の教化事業の一環として1978年に開館した美術館です。20世紀後半以降の国内の彫刻家たちの作品を所蔵し、56作家、約250点の作品のうち、常時約120点の作品を展示公開しています。

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●アクセス

東京都目黒区中目黒4-12-18
TEL 03-3792-5858
JR山手線「目黒駅」、東急東横線「祐天寺駅」から東急バス「自然園下」下車、徒歩3分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.museum-of-sculpture.org/

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