本物の下水道管の中に入れる「ふれあい下水道館」

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都心にも近く自然環境にめぐまれた東京・多摩地域にある小平市では、昭和45(1970)年から公共下水道事業に着手し、20年後の平成2(1990)年度末に汚水整備を完了させました。下水道普及率100%を記念してつくられた「ふれあい下水道館」は、下水道に関する資料を展示して、下水道をはじめ水環境について考えてもらうための施設です。

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1階のエントランスホールには水琴窟や水槽があり、清流のきれいな風景と水音が心地よい空間です。地下の川ともいえる下水道の展示施設があり、展示フロアは1階から地下へと進んで行きます。地下5階まで続くらせん階段には地層の展示まであり、1フロア下りるたびに地層の変化を間近に見ることができます。工事中に掘削した土を柱状に正確に復元した地層展示を見ると、はるか昔この周辺は海の底だったことがわかります。

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「くらしと下水道」が展示テーマの地下2階は、展示室に入って早々ビックリさせられる展示物があります。洋式トイレに座っているマネキンや、お風呂に入っているマネキンが頭上にいるのです。それも結構な大きさのマネキンで現実味があります。トイレに座っているお父さんマネキンは、さりげなく小平市の市報を読んでいるのには笑ってしまいます。
大胆なマネキンの展示を見てもわかるように、下水道に関する真面目な施設ではあるものの、模型や映像も交えて、私たちのくらしと下水道の関わりをわかりやすい展示で説明しています。

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ぜひ一度訪れて下水道への理解を深めてほしい「ふれあい下水道館」

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家庭から出る下水を表現しています

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下水処理の一連の流れをイラストや写真でわかりやすく説明

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工事中に掘り出した土を、柱状に忠実に再現

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現代の下水道事情のほか、江戸時代以降の下水にまつわる展示が地下2階のほか地下4階にもあり、江戸時代にはすでに下水道が整備されていたことに驚かされます。屎尿を含まない下水(台所や洗濯の排水、雨水など)は“ドブ”に集め、町中のドブは最終的に堀や川に流れ出ました。江戸時代のことですから、現代の汚水とは比べものにならないほどキレイな汚水だったと考えられます。
では、屎尿はどのように処理されていたのかというと、農村の人が便所にたまった屎尿を汲み取りに来て、それを肥料にしていたのです。まさにエコなリサイクルですよね。引き取ってもらえるだけでも大助かりなのに、屎尿と引き換えにお金や野菜が支払われていたというのですから、ありがたいことです。共同便所だった長屋では、大家さんの収入になっていそうです。

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最下層の地下5階は、「ふれあい体験室」です。ふれあいというだけあり、実際に使われている管やマンホールと同じものが多数展示されています。油やコンクリートなどが詰まり、流れなくなってしまった下水道本管が展示されていましたが、何故こんなものが!と思うような大きなコンクリート片が詰まっていました。自分の視界から消えてしまえばキレイになったような錯覚を覚えますが、異物を流すと下水道管で詰まり、地域全体に迷惑をかけることになります。

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ガスや臭いの侵入を防ぐしくみを、便器を真っ二つにして解説してくれています

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油やコンクリートが詰まって流れなくなった下水道本管

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下水道館というだけでも珍しい施設ですが、特筆すべきは、地下25メートルに埋められている本物の下水道管の中にまで入れることです。ということは、実際に下水の色や臭いを体感できるのです。これこそまさに“ふれあい”下水道館です。
地下5階に下りたときからすでにうっすら臭いが漂っていますが、下水道管に向かう入口に、「見学コーナー」ではなく「体験コーナー」と記しているのには、下水の臭いを体感・体験してくださいというニュアンスを含ませているのに違いありません。

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マンホールの下は、こんなふうになっています

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この奥を直進すると防水扉があり、本物の下水道管の中につながっています

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防水扉を開けるとそこはもう下水道管の中で、静かに下水が流れています。下水の臭いよりもまず先に、自分がいるライトのあるところ以外は真っ暗で先が見えず、はてしなく長い暗闇が続く内径4.5メートルもの大きな下水道管に恐怖を感じます。そう感じた直後、足を踏み入れてまだ10秒ほどしかそこに立っていないのに、目が痛くなってきました。ツンとした臭いが目にしみてきたようです。とても長くは滞在していられず、早々にその場を後にしました。

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私たちのくらしから出る汚水を減らすことはできませんが、ごみや野菜くず、油、異物などを決して流すことのないよう、また、保守点検など下水道を守ってくれている人々に感謝する気持ちを忘れずに、日々の生活を改めて見直すきっかけになる「ふれあい下水道館」。国内唯一の下水道のテーマパーク(!?)へぜひ行ってみてくださいね。

 

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インフォメーション

ふれあい下水道館(小平市公共下水道管理センター)は、小平市の汚水整備完了を機につくられた、下水道を正しく理解してもらうための施設です。下水道に関するさまざまな資料を展示しています。

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●アクセス

東京都小平市上水本町1-25-31
TEL 042-326-7411
西武国分寺線「鷹の台駅」より徒歩7分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.city.kodaira.tokyo.jp/static/gesui_fureai/gesui_index.html

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