鎌倉の異世界スポット「佐助稲荷神社」

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観光客でにぎわう鎌倉駅周辺を後にして、歩くこと25分。どこからかピアノの音色が聞こえてくる閑静な住宅街を抜けると、朱塗りの鳥居がいくつも連なり、トンネルのように見える「佐助稲荷神社」が見えてきます。

 

“下社の『縁結び十一面観世音菩薩』

 

“この奥には何があるのか、1人だと少し怖くなる鳥居のトンネル参道

 

鳥居のトンネルの手前には佐助稲荷神社の下社があるので、まずはこちらの『縁結び十一面観世音菩薩』で縁結び祈願をしましょう。徳川時代に、縁あって足利郡からこの地に安置された木像の十一面観音は、良縁にうすく、諦めて仏門に入った美しい姫君・赤松幸運が、この世の若い男女に良縁があることを祈りつつ彫られたと伝えられています。美しかった上に、このように心も清らかだったと思われる姫君が縁遠かったのは不思議でなりませんが、姫君の優しい心に手を合わせ、参拝しましょう。

 

続いて鳥居のトンネルに進み、階段で上の本殿へ。木々の緑と鳥居の朱色のコントラストの美しさに目を奪われていると、階段両脇からなにやら無数の視線を感じます。さまざまな形、大きさの狐が鎮座していて、上にある本殿へ道案内をしてくれているかのようです。
やっとの思いで階段を上りきると、右手から「こんにちは」と明るい声が聞こえます。振り返ると授与所にいる神職の方が、階段を上ってきた労をねぎらってくれているかのようなやさしい笑顔を投げかけてくれます。

 

清どっしりと大きな鳥居が圧巻

 

–国生みに始まるすべての神功を果たされたイザナギノミコトが、御子神である天照大神に国家統治の大業を委譲され、最初にお生みになられた淡路島の多賀の地に、「幽宮(かくりのみや)を構えて余生を過ごされた–
地元では「いっくさん」の愛称で親しまれている守り神の歴史をひもとくと、「古事記」と「日本書紀」にたどり着きます。その御住居跡に御神陵が営まれ、最古の神社として創られたのが現在の「伊弉諾神宮」の始まりだそうです。昭和29年には昭和天皇が「神宮号」を宣下され、兵庫県下唯一の「神宮」に昇格しました。

 

国階段を上りきると、目の前には拝殿があります

 

さらに上へ上へと進むと本殿があります

 

佐助稲荷神社は源頼朝が再建した古社で、仕事と出世運アップのご利益がある神社として知られています。ご祭神は、宇加御魂命(うかのみたまのみこと)と、大己貴命(おおなむちのみこと)、佐田彦命(さるたひこのみこと)、大宮女命(おおみやめのみこと)、事代主命(ことしろぬしのみこと)です。
頼朝が平家討伐を日々念じていたとき、お爺さんの姿をした稲荷の神様が夢枕に立ち、頼朝に挙兵を促し、その時期を啓示したといいます。それに導かれ、あとは皆さん歴史の授業で学んだとおり、頼朝は見事、天下統一を果たしたのです。頼朝は稲荷の神さまの加護に感謝し、佐介山隠れ里の霊地を選び、社殿を造建しました。以後、人々の信仰は厚く、頼朝のエピソードから出世稲荷として広まりました。

 

拝殿で手を合わせていると、うっそうと生い茂る木々のどこからか、生き物が動くガサガサとした音が聞こえます。音のする方を探してみると、リスが元気よく木から木へと走り回っているではありませんか。神職の方によると、境内に出没するのは野生の台湾リスで、子どものリスは、朝も早いうちから元気よく遊びまわっているそうです。リスを眺めながら、緑ゆたかな境内でのんびりする参拝客の姿がたくさん見られました。

 

境内の片隅にあっても存在感たっぷりの『霊狐泉』

 

境内には様々な姿形の狐、狐、狐

 

そんなのどかな光景が見られる一方で、境内には、いたるところに狐が並んでいます。圧倒されるほどの量です。それもそのはず、授与所で対になった大・中・小の狐の置物を分けていただけるので、自宅に持ち帰ってもよいですが、参拝客はそれを境内の好きなところに置くことができるからです。まだ新しくきれいなものから朽ちかけているものまで無数にあり、佐助稲荷神社がいかに多くの人々から信仰されてきたかが、狐の姿や数を見るとよくわかります。

 

授与所で狐を分けていただき、願いとともに境内のどこかに置くことができます

 

佐助の稲荷山は、古くは麓の田畑を潤す水源の地で、人々は生命の元のこの湧き水を、“霊狐の神水”と称えてきました。境内の片隅にある『霊狐泉』がそれで、今も絶えることなく水が湧き出ています。周囲とは少し違う雰囲気を漂わせている、境内でも不思議なスポットです。
秋の行楽には、情緒たっぷり、鎌倉の隠れ里のパワースポットを訪れてみてはいかがでしょうか。

 

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アクセス

神奈川県鎌倉市佐助2-22-12
TEL 0467-22-3251
JR横須賀線「鎌倉駅」より徒歩25分
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