東京都文京区にある六義園(りくぎえん)は5代将軍・徳川綱吉の信任が厚かった川越藩主・柳沢吉保が、元禄15年(1702年)に築園した和歌の趣味を基調とする回遊式築山泉水の大名庭園です。
江戸時代の大名庭園を代表するもので、明治時代に入ると三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎の別邸となりました。その後、昭和13年(1938年)に東京市へ寄付され、昭和28年(1953年)に国の特別名勝に指定されました。
染井門の前に出来た行列
庭園の中央部に広がる大泉水
山手線の駒込駅から歩いてスグの場所にある入口の一つ、染井門はイベント時など特別な時だけに開けるそうですが、訪ねた日は午前中にもかかわらず大勢の来園者がチケット売り場の前に長い列を作っていました。実はノンビリと桜を愛で写真を撮りたいと思い選んだスポットでしたが、考えていた以上の大人気でとても驚きました。
池のほとりにある茶屋でひと休み
シダレザクラの大木
15分ほど並んでようやく入園。都心にも関わらず10mを軽々と超える木々が頭上を覆うように聳え、緑の濃さを実感しました。きれいに管理されたやや狭い歩道を歩いていくと、大きな池が目に飛び込んできました。本来、この付近は平坦な土地ですが庭を造るあたり、池を掘り、小さな山を築き、千川上水の水を引いてこの大きな池、大泉水をつくったそうです。
散り始めでしたが、何とも風情がありました
園内にソメイヨシノもあります
六義園の名は中国の古い漢詩集である「毛詩(もうし)」に記されている「誌の六義」すなわち風(ふう)、賦(ふ)、比(ひ)、興(きよう)、雅(が)、頌(しよう)という六つの分類法の流れを汲んだ和歌の六体に由来します。そして、庭園は中の島を有する大泉水を樹林が取り囲み、万葉集や古今和歌集に詠まれた景勝地や中国の故事にちなんだ景観が映し出されています。
満開でした
和歌にも登場するヤマブキ
園内の桜といえばソメイヨシノやヤマザクラがあるのですが、この時期の来園者が目指すのは内庭大門の前に堂々と咲き誇るシダレザクラ。その大きさは高さ13m、幅17m。少し散り始めていましたが、薄いピンクの花を地面につけるくらいに垂らす様子は圧巻で、大勢の人々が写真を撮っていました。
ヤマブキと桜のデュエットも
染井霊園の桜も満開でした
六義園の染井門のある交差点から、巣鴨駅近くの染井霊園まで続く1km弱のまっすぐな道が染井通りです。この一帯は江戸中期から明治にかけて、花卉(かき)と植木の江戸最大の産地でした。江戸城下、西北の近郊に位置し、日光街道や中山道に沿って町並が発達、大名屋敷もありました。これらの大名の庭園を手入れしていた農民たちが、しだいに植木屋になったと考えられています。
ハナモモも見頃
染染井霊園のあちこちで花開くソメイヨシノ
ソメイヨシノは、江戸末期から明治初期にかけて当地(染井村)の植木職人が、山桜の品種を改良して作りました。最初は「吉野」と呼ばれていましたが、吉野山の山桜と区別するために「ソメイヨシノ」となりました。そして、桜の代名詞として日本全国に広まっていきました。
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アクセス
東京都文京区本駒込6丁目
TEL 03-3941-2222(六義園サービスセンター)
JR山手線・東京メトロ南北線「駒込」駅下車、[染井門]徒歩2分、[正門]徒歩7分
https://www.tokyo-park.or.jp/
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