古今東西の招き猫が、愛知県瀬戸市に大集合!「招き猫ミュージアム」

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“せともの”で有名な愛知県瀬戸市に、日本生まれのラッキーゴッド“招き猫”専門のミュージアムはあります。「なぜ瀬戸に招き猫?」と疑問に思うかもしれませんが、瀬戸は招き猫を最初に量産した、招き猫のふるさととも言える場所だからです。今から100年以上前の明治30年代に、瀬戸の磁器食器の量産技術を使って招き猫の製造ははじまりました。

 

大正時代の瀬戸の洋館建築をイメージしてつくられた「招き猫ミュージアム」

 

招き猫がぎっしり並び、見ごたえのある館内

 

招き猫と聞いて、どんな招き猫を思い浮かべますか?
皆さんの頭にまっ先に浮かんだのは、大きな頭に大きな目、ふっくらした二等身で、しっかり小判を抱えている招き猫でしょう。その招き猫は、同じ愛知県でも常滑(とこなめ)市で生産されている“常滑系”招き猫です。常滑はもともと急須などの生活用品を主に生産していましたが、瀬戸から遅れること約50年、昭和20年代後半に招き猫の大量生産をはじめました。招き猫と言えばこの常滑デザインのデフォルメされた愛らしい猫の姿が、一般に招き猫のイメージを定着させました。

 

では、常滑より約50年も早くつくられ、現在も次々と新しい招き猫がつくられている瀬戸の招き猫は、いったいどんな姿形をしているのか気になりますよね。
驚くことに、瀬戸の招き猫には決まった形はありません。明治時代からつくられている瀬戸系は、本物の猫に近い容姿ですらっとしていて、しかも猫背。常滑系のような愛らしさとはかけ離れたものです。常滑系は完成されているため変化を加えるのが難しいのに対し、瀬戸の招き猫は決まりがないからこそ、今も昔もデザインが豊富でバラエティ豊かなのが特徴になっています。

 

皆さんにおなじみの、“常滑系”招き猫

 

決まった形がない“瀬戸系”招き猫は、顔も姿形もさまざま

 

招き猫ミュージアムは、瀬戸で招き猫の量産が盛んだった大正時代を彷彿させる、当時の洋館をイメージした建物の2階にあります。入館すると、驚くほどいたる所にぎっしり日本全国の招き猫が並んでいます。
はじめに、来館者に招き猫について詳しく知ってもらうため、「招き猫豆知識」が掲示されています。たとえば、最近は両手を挙げている招き猫も見かけるようになりましたが、右手と左手、招き猫が挙げている手の意味の違いはなに? 招き猫の色は一般的には白で開運招福の意味が込められていますが、黒・赤・金・桃・黄色それぞれの意味はなに? 小判に描かれている金額は千万両が主流なのはなぜ? といった楽しい豆知識がいくつも紹介されています。
その中から1つ、帰宅後、自宅にある招き猫を思わず確認してしまった豆知識を紹介します。招き猫が挙げている手の長さには違いがあり、手長猫と手短猫があるそうです。たいていの招き猫の手は顔の半ばか耳の横で止まっているはずですが、まれに耳を超す位置まで手が伸びているものがあり、それが手長で、長ければ長いほどご利益も大きく、手短なら身近な福をつかむと言われているそうです。

 

先に述べたように招き猫の主流は常滑系ですが、日本全国で招き猫はつくられていて、土人形や張り子など、各地域の素朴でユニークな招き猫が、「日本全国郷土玩具の招き猫」コーナーに勢揃いしています。岩手県の花巻土人形は、口の周りになぜかドロボウのような黒いふちどりがされていたり、埼玉県の春日部張り子は、見ているだけで楽しくなる愛嬌のある顔をしています。

 

ドロボウ顔がユニークで人気の高い、岩手県・花巻土人形

 

見る人を幸せにしてくれる愛嬌のある顔が特徴の、埼玉県・春日部張り子

 

「産地別招き猫」コーナーで注目は、九谷の招き猫です。九谷焼で有名な九谷でも招き猫がつくられているのです。九谷焼と言えば、五彩や金の絵付けの華やかさが特徴ですが、招き猫にもそのままそれら技術が投入されていて、全身に絵付けされている招き猫は、ひと目見たら忘れられないインパクトの強さがあります。また、九谷の招き猫は、他の産地ではあまり見られない横座りのスタイルも特徴です。

 

    艶やかすぎてビックリする、九谷焼の招き猫

 

端から端までじっくり見たい「百花繚乱 現代の招き猫」コーナー

 

以上の常設展示のほか、毎年9月に開催される「来る福招き猫まつりin瀬戸」の時に入れ替える特別企画展示コーナーもあります。常設だけでは膨大な量の収蔵品を展示しきれないため、毎回ユニークなテーマを掲げて、館内にまだ眠っている招き猫を紹介しています。現在は、入手困難な招き猫や、幻の招き猫を復刻したレプリカを紹介している「復刻版招き猫名品展~瀬戸の技術を生かして後世に名品を~」を展示しています。

 

おすすめ! 大人気の「招き猫染付け体験」

 

1階カフェでは、オリジナルの猫カップでコーヒーや紅茶をいただけます

 

招き猫ミュージアムでは、招き猫の展示以外に楽しい仕掛けが施されています。館内のいたるところに装飾されているタイル、照明器具など、随所に猫の姿が隠されているのです。簡単に見つけられるものから、難易度の高いものまでいろいろあるので、訪れた際には隠し猫探しにチャレンジしてみてくださいね。
また、1階にはカフェとショップがあり、カフェではミュージアムオリジナルの食器でコーヒーなどを楽しめます。ショップでは現代の創作招き猫作家の作品が展示販売されているほか、ミュージアムオリジナルグッズの販売もされているので、ここでしか手に入らないモノに囲まれて、ワクワクすること間違いありませんよ。

 

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インフォメーション

招き猫ミュージアムは、板東寛司・荒川千尋の両氏が蒐集してきた個人コレクションを展示している、日本最大の招き猫専門博物館です。2000年に群馬県・嬬恋村で開館しましたが、もっと大勢の人に招き猫の魅力を知ってもらおうと、招き猫との縁も深く1996年から「来る福招き猫まつりin瀬戸」を開催している愛知県・瀬戸市に、2005年に移転しました。招き猫をはじめとする縁起置物などを制作する陶磁器工芸メーカー㈱中外陶園が、同館を運営しています。

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●アクセス

愛知県瀬戸市薬師町2
TEL 0561-21-0345
名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」より徒歩8分

詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://luckycat.ne.jp/

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