今年は、伊勢神宮の第62回式年遷宮の年です。これを機に、神社本庁や日本全国の神社の全面協力を得て、東京国立博物館 平成館では、6月2日（日）まで「国宝 大神社展」を開催しています。
全国の神社の宝物が一堂に会し、会場内のどこを見ても神々しい展示物だらけの同展。国宝や重要文化財、約160件を含む約200件！ この数字からも、どれほど貴重な展覧会かがわかるでしょう。
一点一点、じっくり見て回りたい「大神社展」会場内
国宝「金銅製雛機」奈良時代・8世紀 福岡・宗像大社蔵
展覧会は全6章から構成されていて、日本人は古来、自然の中に神を見出して畏れ敬い、やがて神社を建てて神々をお祀りするようになり、神のための調度品をつくり、大切に守り伝承してきた経緯をわかりやすく展示しています。その中から、美肌茶房編集部が注目した展示品をいくつかご紹介します。
「第2章 祀りのはじまり」では、山の神と海の神に注目し、その祀りのはじまりを奈良・山ノ神遺跡と福岡・沖ノ島祭祀遺跡から発見された様々な資料から考え、神に捧げられた遺物の美に迫っています。また、『古事記』『日本書紀』『延喜式神名帳』といった文献資料をもとに、神社で祭神が祀られはじめた頃の様子も紹介されています。
国宝の『金銅製雛機（こんどうせいひなばた）』は、細部にわたって驚くほど精巧につくられている織機のミニチュアです。このことからも、織機が神への捧げものとしていかに重要な意味をもっていたかがうかがわれます。付属品もほぼ揃っていて、織ることができます。
「第5章 伝世の名品」では、展示室に入ってすぐの国宝『直刀 黒漆平文大刀』に目を奪われます。茨城・鹿島神宮に古くから伝わる平安時代・9世紀の宝物で、古代に遡る直刃としてはわが国最大のもの。目測で、3メートルはあるかと思われる大きさです。
その先には、文様の美しい銅鏡が並んでいます。重要文化財の『羽黒鏡』は平安‐鎌倉時代・12‐14世紀のもので、山形・出羽三山神社の本殿前にある御手洗池から600面近い銅鏡が発見されたそうです。奉納の意を込めて池に投入したとみられ、そのことから深い信仰がうかがわれます。唐草、鶴、花などの文様が見事で、女性だけでなく食い入るように熱心に見ている男性の姿も多く見られました。
国宝の『梅蒔絵手箱（うめまきえてばこ）』は、鎌倉時代・13世紀のもの。手箱とは、女性が化粧道具など身の回りの細々したものを入れていた整理箱のことです。一見シンプルながら上品な装飾が施された手箱は、現代女性も魅了する逸品です。
国宝「梅蒔絵手箱」鎌倉時代・13世紀 静岡・三嶋大社蔵（展示期間5/8～6/2）
重要文化財「女神坐像」平安時代・9世紀 京都・松尾大社蔵
「第6章 神々の姿」では、女神、男神、坐像、立像など神像の多様な表情と姿が見られます。最後の最後に登場する、神々のあまりの数と規模に圧倒されること必至です。
平安時代・9世紀の重要文化財『女神坐像（じょしんざぞう）』（松尾大社）は、色白で豊満な女神。美しさの中に神の厳しさがあるものの、ドンと座っている様はまるで肝っ玉母さんのようです。大らかな頼もしさが感じられ、どの神像よりも親近感がわいてきます。
来場者が四方を取り囲んで見ていたのは、重要文化財『春日神鹿御正体（かすがしんろくみしょうたい）』です。春日大社の使いの鹿が写実的に表され、その造形に皆さん目を奪われ、展示ケースの四方をゆっくり歩いて余すところなく見ていました。金銅製の重厚感のある輝きと質感、人混みの後ろからも覗いて見ることができるほどの大きさに、神像とは違った神々しさが感じられます。
重要文化財「春日神鹿御正体」南北朝時代・14世紀 京都・細見美術館蔵
館内に一歩入ると宝物に終始圧倒され通しですが、自然と神々のパワーをいただけるからか、帰りには清々しい気持ちになっています。日本全国の神々のパワーが大集結している、またとない展覧会です。ぜひこの機会にトーハクに足を運んでみてはいかがでしょうか。グッズコーナーも神々のパワー全開。同展のオリジナル商品が充実しているので必見ですよ。
【写真協力】東京国立博物館
※作品画像の転載・コピー禁止
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インフォメーション
東京国立博物館は、明治5（1872）年に湯島聖堂の大成殿で開催された博覧会からはじまり、日本で最も長い歴史をもつ博物館です。日本を中心に東洋のさまざまな国や文化の美術作品、歴史資料、考古遺物などを収集・保管し、 収蔵品の調査・研究・保存・修復を行い、広く展示しています。“トーハク”の愛称でも親しまれています。
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●アクセス
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