自転車のすべてがわかる「自転車文化センター」

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科学技術館の2階に「自転車文化センター」はあります

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移動手段の一つであり、私たちのもっとも身近な存在でもある、“自転車”の総合情報提供施設「自転車文化センター」に行ってきました。
自転車文化センターでは、来年1月6日まで特別展示「自転車が果たしている役割 その始まりの自転車」展を開催しています。

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海を渡り日本に自転車が入ってきたのは、江戸時代末のことです。当初の自転車は輸入品がほとんどで値段も高く、レースや上流階級の人たちによるツーリングなど、利用する人も利用目的も限られていました。明治時代後半から大正時代にかけて国内でも製造されるようになると、利用者も増えて、荷物の運搬や業務用など、さまざまな目的で乗られるようになり、それに合わせた自転車づくりが行われ技術開発が進みました。現在では、通勤・通学、買い物、レジャーにと、年齢・性別を問わず人々の足として自転車の活躍の場は広がりを見せています。
今回の企画展では、日本での自転車利用のはじまりから、ママチャリの元祖が登場して女性にも自転車の利用がはじまったことや、サイクリングの楽しみの広まり、子ども用自転車の登場など、日本における自転車の歴史が、当時の自転車や写真の展示とともに紹介されています。

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特別展示を開催している自転車文化センター情報室

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日本の自転車史を知る上で貴重な自転車の数々が展示されています

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女性にとっていちばん馴染みのある自転車といえば、なんといっても“ママチャリ”(正しくは「シティサイクル」や「軽快車」と言います)ですよね。自転車文化センターの学芸員・村山吾郎さんが、数ある展示の中から、ママチャリを中心に案内してくれました。
昭和31(1956)年、ママチャリの元祖「スマートレディ」の登場によって、女性の自転車利用が本格的にはじまりました。その当時、自転車に乗ることのできる20代の女性は61%、30代の女性は42%、年代が上がるのにしたがって乗ることのできる割合はどんどん低くなり、しかも女性用自転車の保有率はわずか8%でした。そこで、自転車メーカーは乗れるのに利用率の低い20代女性に注目。彼女たちをターゲットにした自転車を製造するとともに、新たな販売戦略を打ち立てました。その販売戦略がとってもユニーク!それは、自転車を花嫁道具として購入することを勧めたのです。そのときに誕生したのが「スマートレディ」で、買い物に便利で、美容と健康にも役立つことをアピールしました。

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従来の自転車は、ハンドル下からサドルに向かって長いフレームのパイプ(「トップチューブ」と言います)があるので、乗る際にはそれをまたぐために足を高く上げる必要がありました。そこで、スマートレディは足を高く上げなくても乗れるように、フレームをカーブさせて低くしたので、女性もスカートで乗れるようになったのが大きな特徴です。さらに、取り外しができる買い物カゴをハンドルの前に取り付けたのも画期的でした。現在のママチャリにはカゴは付いているのが当たり前ですが、このスマートレディの発売後、カゴがオプションとして発売されるようになりました。
このように女性に乗りやすく使い勝手のよい自転車は、男性にも広まり利用者が増えました。もちろん女性の評判はよく、これによって自転車に乗ることができる女性の割合が飛躍的にアップしたのは言うまでもありません。

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元祖ママチャリとはいうものの、スマートレディの姿かたちは、まだ男性の自転車のようですよね。“ママチャリ”と聞いて私たちが連想するような形になったのは、もう少し後のことです。
昭和30年代後半、ヨーロッパではタイヤの小さな大人も乗れる小径車と呼ばれる自転車が流行していました。その影響を受け、日本でも女性用の自転車を改良して、20インチや22インチの大人でも乗れる自転車が普及しました。家族みんなで乗れるようにサドルの高さを調節できるシートピン、前カゴも標準装備されるなど、現在のママチャリの装備がはじめて備わった自転車が、昭和41(1966)年の日本版小径車ミニサイクル「アサヒ号」です。その後、昭和50(1975)年頃に、ミニサイクルと26インチの女性用自転車が融合して、現在のママチャリは完成しました。こうして自転車は、年齢・性別を問わず誰でも利用できる、日常生活に欠かせない乗り物になっていったのです。

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これがママチャリの元祖「スマートレディ」(前カゴなし)

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ミニサイクルの出発点「アサヒ号」

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何度も何度も練習して、はじめて自転車に乗ることができて感激した子どもの頃から、何十年も身近にあり何気なく乗っている自転車ですが、良い乗り方ができているでしょうか。
学芸員であり、自転車安全教育指導員でもある村山さんが、自分の力を効率的に使うためには、身体に合ったサドルの高さ調整が大切だと教えてくれました。自転車に乗ってペダルに足をおき、いちばん下までおろしたときに、膝の角度が110度くらいになると良いそうです。また、メンテナンスの面では、タイヤの空気は乗っていてもいなくてもバルブの構造上、少しずつ抜けていくので、日常乗っている人は、月に1度は空気を入れた方が良いそうです。ブレーキが利くかどうかの点検も忘れずに。
自転車で快適に走り、健康効果を得るためにも、以上の点を心がけてみてくださいね。

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自転車文化センターでは、今回の特別展示をしている「自転車文化センター情報室」のほか、自転車の歴史と変遷が学べる「自転車広場」、自転車の仕組みと原理を体験できる「北ノ丸サイクル」もあり、親子、カップル、友だち同士でも楽しめる施設です。懐かしい自転車に出合えるこの機会に、訪れてみてはいかがでしょうか。

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大洲大作 世界の自転車の歴史と変遷が学べる「自転車広場」

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自転車の仕組みと原理を体験できる「北ノ丸サイクル」では、子どもたちが体験に夢中になっていました

 

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インフォメーション

自転車文化センターは科学技術館2階に設置された3つの展示室の総称で、自転車に関するさまざまな情報を発信している総合情報提供施設です。

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●アクセス

東京都千代田区北の丸公園2-1 科学技術館内2階
TEL 03-3217-1231
地下鉄東西線「竹橋駅」、地下鉄東西線・半蔵門線・新宿線「九段下駅」より徒歩7分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.cycle-info.bpaj.or.jp/

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