お茶の健康効果

Q:お茶は本当に健康に良いでしょうか?
A:お茶はクスリではありませんから効果・効能を期待して飲むものではありません。しかし、がんにも効果があるとの研究報告もあるように、飲む人や飲み方によっては一定の効果があることも事実。嗜好品として美味しくいただき、穏やかな効果を感じてはいかがでしょうか。

 

お茶は生活習慣病を予防する?

お茶には様々な健康効果があります。その機能性について研究が進められていますが、毎日飲み続けられて、かつ穏やかな作用を考えると、サプリメントのように効果効能を期待して飲むことより、長時間かけて習慣の中で体に働きかけるようなお茶との付き合い方が良いのではないでしょうか。ここでは身近な生活習慣病予防につながるお茶の健康効果をまとめてみます。

 

【抗酸化作用】

お茶の代表的な健康機能で、全ての病気予防につながるとまで言われる重要な作用です。体内の酸化現象を抑制し、組織の老化を防ぎ、免疫力を高めるからです。お茶に含まれるカテキン類が、活性酸素が出来るのを防いだり、発生した活性酸素を消したりする働きを持っているからです。

 

【高血圧予防作用】

血液中のアンジオテンシノーゲンは、腎臓の酵素レニンによってアンジオテンシノーゲンⅠとなり、これが変換酵素によってアンジオテンシノーゲンⅡに変換されることで、強い血管収縮作用を持つようになります。これが血圧上昇の原因の一つなのです。お茶に含まれるカテキン類はこの変換酵素の働きを抑える作用があります。そのため、お茶をよく飲むと高血圧予防に効果的と言えるのです。

 

【コレステロール値の上昇抑制作用】

高血圧と並び生活習慣病の危険因子とされるのが血中コレステロール値が高くなることです。コレステロールは、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の2種類に分けられます。LDLコレステロールは血中濃度が高くなると、血管の内側にこびりつくようになります。これが酸化されると血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを発症する可能性が高まります。お茶に含まれるカテキン類、中でもエピガロカテキンガレート(EGCg)は、全カテキンの約半分あり、これがLDLの酸化を抑える作用が強いことがわかっています。

 

その他にもあるお茶の健康機能

この他には肥満予防作用、抗アレルギー作用、認知症に関する作用、虫歯・口臭予防、殺菌効果などが明らかになってきています。また、近年は胃がんなどのがん予防についての研究も進んでいます。

 

◎コラム:「掛川茶とがん予防」

2011年1月、NHK「ためしてガッテン」にてお茶のがん予防効果が紹介されました。
番組の主な内容は、

  • 静岡県掛川市は、がんによる死亡率が日本一低い。
  • がん死亡率の低い町で上位にランクされるのは静岡県の藤枝市や磐田市、浜松市、埼玉県所沢市、三重県津市や鈴鹿市、鹿児島県鹿屋市など緑茶生産地が多い。
  • お茶に含まれるカテキンが、がん予防効果があるのではないか?

さらに番組によると、掛川市ではお茶を1日10杯以上飲む人が多いとのこと。また、お茶の産地の中でもなぜ掛川市のがん死亡率が低いかという点について、掛川茶の特長を紹介。

  • 掛川の茶畑は日あたりが良く、茶に多くのカテキンが含まれている。
  • カテキンは茶の渋みの成分でもあるので、通常の製法では渋みの強いお茶になる。
  • 掛川茶は、製造段階で通常のお茶より蒸し時間を長くする「深蒸し」という方法で作られ、渋みが少なく味の濃いお茶に仕上がる。
  • 深蒸し茶は通常のお茶より茶葉がくずれて粉っぽいお茶になるが、カテキンなどの有効成分が多く溶け出している。

こうした番組内容に影響を受けて、店頭やインターネットでは「今、話題の掛川茶(深蒸し茶)あります!!」という宣伝文句が溢れました。単純に番組に影響されると「掛川茶や深蒸し茶が“特に”がんに効果があるらしい」という思うのですが、果たしてそうでしょうか?

緑茶のがんへの効果については、これまでも大学や国立がんセンターなどから多数、信頼できる研究報告が行われています。しかし、掛川茶や深蒸し茶にフォーカスしたものは、ほとんどありません。一般の緑茶より掛川茶や深蒸し茶が特に効果が高いかどうかは、もうしばらく複数の、または大規模な疫学調査報告を待って判断すべきではないでしょうか。

この番組はお茶業界においても大きな話題となりました。確かに一部の消費者はこの情報を受けて実際に買い求める動きをしたようです。しかし、もう半年が経過して、あのブームは沈静化しています。メディアで流れる一過性の情報に流されることなく、情報は自分で調べて、さらに味覚は自分で確かめて飲むべき、と改めて考えさせる出来事でした。
お茶はファッションではなく、ましてやクスリではありません。
嗜好品として茶葉の一滴を味わいませんか。

 

【参考文献】

日本茶のすべてがわかる本〜日本茶検定公式テキスト(日本茶インストラクター協会 企画・編集、日本茶検定委員会 監修/農山漁村文化協会 発売)
日本茶のこと説明できますか?(Discover Japan特別編集/枻(えい)出版社 発行)
ブルータス2009年7月1日号(マガジンハウス 発行)