同じチャの樹から、いろいろなお茶が出来る不思議!?

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Q:同じチャの樹から異なるお茶ができるのはなぜ?
A:摘み取った茶葉の発酵度合いの違いで、いろいろなお茶で出来るのです

 

お茶の分類

同じ仲間のチャの樹からいろいろなお茶を作ることができます。様々な種類が出来るのは、摘み取った生葉の最初の処理方法の違いからです。
茶の製造には「発酵」という言葉が登場します。これはチャの葉に元来含まれている酸化酵素による酸化発酵のことで、お酒や味噌など食品加工で見られる微生物を利用した発酵とは異なります。チャの生葉はそのまま放置すると酸化発酵が始まります。葉に含まれる酵素の働きを止めるために加熱処理をしますが、これを「殺清」と言います。この処理をいつ行うかで茶の種類は大きく3つに分けられます。

 

① 不発酵茶:生葉をできるだけ早く加熱して酵素の働きを止めます
⇒日本の緑茶(蒸し製:煎茶や玉露、かぶせ茶、碾茶、番茶等)
中国の緑茶(釜炒り製:玉緑茶)

② 半発酵茶:酸化酵素を少し働かせて、その後で加熱して酵素の働きを止めます
⇒烏龍茶
③ 発酵茶:酸化酵素を最大限働かせてから、加熱して発酵を止めます
⇒紅茶
これら②③は生葉の中の酵素を活用するものですが、それとは別に微生物による発酵を使った「後発酵茶」もあります。

 

緑茶~発酵させない(酸化させない)お茶

摘み取った生葉をすぐに加熱して酵素の働きを止めて作ります。日本の緑茶と中国の緑茶がありますが、どちらも早い時期に酸化を止めるので生葉の鮮やかな緑色が残っています。日本と中国の緑茶の違いは生葉の加熱方法です。日本緑茶は蒸気で蒸して加熱します。蒸し製の日本緑茶には煎茶や玉露、碾茶(抹茶の原料)などがあります。
一方、中国緑茶は生葉を釜で炒って加熱したもので、「釜炒り茶」と呼ばれます。釜香と言われる独特の香りが特徴です。日本の緑茶はほとんどが蒸し製ですが、佐賀県嬉野地方など九州の一部には、中国より伝えられた釜炒り茶が今も残っています。

 

烏龍茶・紅茶~発酵させるお茶

摘んだ生葉を放置し萎れさせて発酵を促すことを「萎凋(いちょう)」と言います。萎凋することで生葉に含まれる様々な成分が変化しやすくなり、その結果、独特の味や香りを高めることができます。
萎凋がある程度進んだ茶葉を釜炒りして発酵を止めたものが半発酵茶で、代表例が烏龍茶です。一口に烏龍茶といっても発酵度合の違い様々で、発酵が浅いと水色が薄く緑茶に近い味になったり、また発酵が深いと水色が濃く、紅茶のような味わいに近くなったりします。最大限に酸化酵素を働かせたものが紅茶で、強発酵茶や完全発酵茶と言われることもあります。紅茶は世界で最も多く生産されているお茶です。

 

 

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【参考資料・web】

「食と日本人の知恵(著:小泉武夫)」岩波現代文庫
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