鎌倉を寺社めぐりの観光で訪れるなら、絶対に欠かせない名所の一つが、今回ご紹介する長谷寺です。
鎌倉観光でははずせない観光スポット「長谷寺」
境内の手入れが行き届いた庭園は、外国人観光客でなくとも見とれてしまう美しさ
古刹・長谷寺の開山は、奈良時代の天平8(736)年までさかのぼります。長谷寺の御本尊は十一面観音菩薩像で、日本最大級の木造の仏像。この観音像の発見により、現在の長谷寺があります。
そもそもこの観音像は、大和(奈良県)長谷寺を開山した徳道上人が、大和の山中で見つけた巨大な霊木の楠から造られたものです。2体の観音像が造られ、そのうちの1体は大和長谷寺の観音像となり、残る1体は、人々を迷いから救う衆生済度(しゅじょうさいど)の願いが込められ、海に投じられました。その後、その観音像が三浦半島に流れ着いたのが発見されたことから、長谷寺の建立に至ったのです。“霊木”で造られている“観音像”だからこそ起きた奇跡としか言いようがありませんよね。約1300年を経過していてその間に幾多もの災害があり、お堂も再建されているので、現在の像が創建当初のものとは考えられませんが、観音像に付随する光背などの修復が室町時代に行われていたことは明らかになっているため、現在の観音像もその頃から存在していたと考えられるそうです。
観音像は右手に錫杖を携えていて、岩座に立っています。このスタイルは大和長谷寺の観音像をはじめとして、全国にある長谷寺で祀られている観音像に多く見られることから、「長谷寺式十一面観音像」と称されています。各地の長谷寺式十一面観音像も興味がわいてきます。奈良や鎌倉の長谷寺は遠くてなかなか行けないわ…という方は、もしも近くに長谷寺があれば行ってみてはいかがでしょうか。
地蔵堂の前後左右には無数のお地蔵さんが並んでいて驚きます
やさしいお顔をした「良縁地蔵」が境内の随所にあり、見つけると笑顔になります
長谷寺は小高い山にあり、裾野から中腹にかけて境内が広がっています。そのため、四季折々の花や木が参拝客の目を楽しませてくれます。山門をくぐり抜けると、目の前には美しい日本庭園!手入れの行き届いた木々と池を眺めながら階段を上がっていくと、たくさんお地蔵さんが並んでいる中に、地蔵堂があります。圧巻の光景に、修学旅行生の集団が大騒ぎしていた気持ちもわかります。
さらに階段を上っていくと、本堂(観音堂)です。本堂の少し先には眺望散策路があり、そこを歩くと群生している40種類以上、2500株ものアジサイを見られることから、アジサイの季節ともなれば大勢の人で賑わう観光スポットです。アジサイのシーズン以外なら混雑することはないので、お寺の境内を歩いているというよりは、まるでどこかの山にハイキングにでも来たような気分になります。
また、境内には見晴台もあり海が一望できます。春から夏にかけては清々しい雰囲気の中でリフレッシュでき、秋冬は澄んだ空気の中で遠く相模湾を望むのもまた心地よいでしょう。
観音像が祀られている本堂
見晴台にはテーブルとイスもあるので、のんびり過ごすのもオススメ
長谷寺の広い境内を散策していて気になったのが、「経蔵」です。内部に回転式の書架を備えている経蔵を、輪蔵(りんぞう)と呼び、蔵内には一切経(大蔵経)が収められているそうです。時計回りに書架を一回転させることで、一切経を一通り読んだのと同じ功徳が得られるといいます。ただし、書架が回せるのは毎月18日の観音御縁日と、正月三が日のみ。訪れた日は残念ながら18日ではなく、後ろ髪を引かれる思いで経蔵を後にしました。
長谷寺に行ってみたい!と思われた方は、せっかくですから18日を覚えておいてくださいね。
お守りには見えない、いちご型の「願い叶うお守り」
長い歴史をもつ長谷寺ですが、授けてくださるお守りは意外と現代的なものもあります。「願い叶うお守り」は、いちごの形をしたキュートなお守り。なぜ“いちご”なのかわかりますか?
一と五で“いちご”になりますよね。一五、すなわち十五なので、「十分に良い五(ご)利益に恵まれて願いが叶うように」と祈祷されているお守りなのです。長谷寺を訪れたら、記念に持ち帰られてはいかがでしょうか。
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アクセス
神奈川県鎌倉市長谷3-11-2
TEL 0467-22-6300
江ノ島電鉄「長谷駅」より徒歩5分
http://www.hasedera.jp/
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