初詣といえば、東京なら明治神宮、大阪なら住吉大社、そして名古屋では熱田神宮が大勢の参拝客でにぎわうことで有名です。明治神宮と住吉大社はすでにご紹介済みなので、今回は、名古屋で知らない人はいない、熱田神宮をご紹介します。
113年創建の熱田神宮は、三種の神器(鏡・剣・玉)の1つである草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)の御鎮座にはじまりますが、それは日本武尊(やまとたけるのみこと)と深い関係があります。日本武尊は、父親である第12代景行天皇の命をうけて東征に出た帰り、宮簀媛命(みやすひめのみこと)を妃に迎えました。その後、日本武尊は神剣を今の名古屋市緑区に留め置いたまま三重県亀山市で亡くなったため、宮簀媛命は日本武尊の遺志を重んじて、神剣をこの熱田の地に祀りました。
それから今年で1900年を迎える熱田神宮には、境内外に本宮・別宮外43社が祀られています。ご祭神は熱田大神(あつたのおおかみ)で、草薙神剣に御霊を寄せた天照大神(あまてらすおおかみ)のことです。本宮は伊勢神宮とほぼ同様の社殿配置・規模の神明造りで、一番奥にある本殿に、熱田大神は鎮座されています。
あいにくの雪でしたが、熱田神宮の参拝客は後をたちません
本宮へまっすぐ伸びている参道は、厳かな雰囲気
1900年の歴史があり、名古屋の人々に親しまれてきた熱田神宮ですが、人々を惹きつけてやまない理由はほかにもあります。
明治神宮と住吉大社も“都会の杜”というのにふさわしいほど緑ゆたかで、神々のパワーだけでなく自然界のパワーも授かることができますが、熱田神宮も負けてはいません。約6万坪もある広大な境内には、弘法大師のお手植えともいわれる樹齢1000年を越える立派な「大楠」をはじめ、どこを見ても緑があり、すくすくと育った木々が四季を通して訪れる人々を温かく出迎えてくれます。一歩足を踏み入れたら、なぜ“熱田の杜”と呼ばれているのかがよくわかるほどの自然空間です。
気圧されるほど威風堂々とした本宮の存在感と、そこに至るまでの厳かな雰囲気、やすらぎを与えてくれる緑。それらすべてが、ここは神聖な場所であることを心身に感じさせます。
“熱田の杜”と呼ばれるほどの境内は、空気も新鮮
弘法大師が植えた?!樹齢1000年を越える大
その熱田の杜を散策する際にぜひ立ち寄りたいのが“こころの小径”です。小径と名付けられているだけあり、ちょっとした散策コースになっています。本殿をぐるっとめぐるようになっていて、こころの小径を行くと本宮を西側や北側から拝することができるほか、お清水さまと呼ばれて親しまれている清水社(しみずしゃ)にも通じています。平家の武将が目を患った時に、清水社に祀られている女神に祈りを捧げ湧き水で目を清めたら、その御加護にあやかることができたところから、眼の神さまとして信仰されるようになりました。
伊勢神宮とほぼ同じ社殿配置・規模の本宮
入口は道幅が広いものの、進んで行くとほんとに小道も出てくる“こころの小径”
さて、このお清水さま、眼だけでなく美肌の神さまでもあります。亨禄の古図(1529年頃)にも描かれている、楊貴妃の石塔の一部という説もある苔むした石が、社殿の奥の湧き水の中にあります。この石に3度水をかけてお願い事をすると願いが叶い、そのうえこの水で肌を洗えばキレイになるともいわれています。
約500m、ゆっくり歩いても10分ほどのこころの小径は、熱田の杜の中でももっとも静かで特別な場所です。どことなく張りつめた雰囲気がするこころの小径は、歩いているうちに、しだいに心も洗われていくようです。熱田神宮へ行った際には、ぜひこころの小径を探してみてくださいね。
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アクセス
愛知県名古屋市熱田区神宮1-1-1
TEL 052-671-4151
名鉄名古屋本線「名鉄神宮前駅」より徒歩3分
http://atsutajingu.or.jp/jingu/
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