羽田空港で、日本の美を発見する「ディスカバリーミュージアム」

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(左)羽田空港第2旅客ターミナル3階にある「ディスカバリーミュージアム」

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羽田空港内にミュージアムがあるのをご存知ですか?

羽田空港には、日本初!の空港内美術館があるのです。「ディスカバリーミュージアム」は、第2旅客ターミナル3階に2010年にオープンしました。

第8回企画展示『武将の美学―威厳の極致―』が、10月8日まで開催されています。

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このディスカバリーミュージアム、決して広いミュージアムではありません。今回の企画展も、展示作品は22点のみ。この数からもどれくらいの規模か想像がつくでしょう。1点1点がゆったりと展示されています。
館内は、黒を基調とした落ち着いた内装でソファも数多くあり、ラウンジ風。作品の前にソファが配置されているので、じっくり作品と対峙することができます。

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特徴的なのは、作品はどれも展示されているだけで、作品名も何も一切掲げられていないこと。入り口に目録があるので、それをいただいてから鑑賞しましょう。目録には、展示作品がすべて写真付きで解説されています。居心地のよいソファに座って、目録を読みながら作品を鑑賞する。贅沢なひとときです。

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空港内にあることから、来館者のほとんどが空へ旅立つ人です。大きな荷物を預けて身軽になってから訪れる人や、ゆっくり見る時間がないからと目録だけもらっていき、旅から帰ってきたときに再度やって来る人などさまざま。企画展ごとにミュージアム目指して空港に来る人もいたり、一度訪れるとリピートされる人が多いそうです。空港内という非日常の場所で、ミュージアムというこれまた異空間に身を置く不思議な感覚。このユニークさは訪れた人にしかわかりません。

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(左)GW、お盆前後、年末年始など、空港利用者が多い時期は、ミュージアムの来場者も一気に増加するそう。落ち着いて鑑賞したい人は、繁忙期は避けた方が賢明です

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「目録」片手にじっくり鑑賞する人も多い、居心地のよいソファ

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さて、『武将の美学』と題された今回の企画展。武将=男=日本人の美学、美意識の高さをまざまざと感じさせられます。
戦国の世、武将は絢爛(けんらん)な衣装や装身具を身に着けることで、敵軍・臣下にカリスマ性や威厳をアピール。太平の世では、江戸城への登城や大名間の社交場などで、武将としての格式を示していました。
展示されている細川家の至宝の数々は、どれもシックですが実用的。絢爛豪華な、いかにも高価そうな見栄えのするものではなく、さりげなく気の利いた良いものを随所に取り入れていたところに、小憎(こにく)らしいカッコよさを感じます。

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(左)軽く実用的でいて威厳の感じられる『山鳥頭立越中頭形兜』

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特に注目は、『山鳥頭立越中頭形兜(やまどりずたてえっちゅうずなりかぶと)』(江戸時代、18世紀)です。
細川忠興(ほそかわただおき、肥後細川家2代当主)が考案して関ヶ原の戦いで用いた、頭部に山鳥の尾羽を立てた形式の兜です。戦でこれを被っていては、山鳥の立派な尾羽が簡単に折れてしまいそうですが、折れたことが奮闘した証になったそうです。軽量でいて華やか。しかも、折れてしまってもそれが勇者の証になるというのですから、あらゆる点でよく計算された兜といえます。

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『黒呂色塗打刀拵(くろろいろぬりうちがたなこしらえ)』(江戸時代、18世紀)は、細川家らしい美意識が凝縮されている逸品です。
拵(こしらえ)とは、刀の鞘(さや)・鍔(つば)・柄(つか)に施す細工や塗りなどの外装のこと。呂色という艶出し加工がされていて、遠くからでも鞘の光沢がわかるほどの美しさですが、黒のみのシンプルな造りの中で、柄の外装金具には小さな金細工の紋があしらわれています。

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刀装具の中でも、いちばん目立たないのが目貫(めぬき)です。“目抜き通り”という言葉ができたくらい、刀身が柄から抜け落ちるのを防ぐ目釘を覆う金具の目貫は、刀において中心的な存在です。それがしだいに装飾を施されるようになり、柄を握ったときの手だまりの役目を持つようになったのです。せっかく凝った目貫をつくっても、刀の柄糸を上から巻かれて、その全体像は表には出ません。他人からはよく見えないものですが、自分だけの美学を表現するにはうってつけの小物だったのかもしれません。

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シンプルな美しさの『黒呂色塗打刀拵』

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見えない部分のオシャレ『仁王図目貫』

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現代日本人が持っている美意識は、脈々と受け継がれてきたことだと感じられる『武将の美学』を、ぜひ羽田空港でディスカバリー(発見)してきてくださいね。

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刀の鍔の装飾も見ごたえがあります

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ミュージアムショップで人気のオリジナル商品、鍔がモチーフのストラップ

 

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インフォメーション

ディスカバリーミュージアムは、2010年10月にオープンした日本初の空港内美術館です。700年の歴史をもつ、細川家の至宝を管理する永青文庫の常設企画展として開設されました。

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●アクセス

東京都大田区羽田空港3-4-2 第2旅客ターミナル3階
TEL 03-6428-8735
京急線「羽田空港国内線ターミナル駅」・東京モノレール「羽田空港第2ビル駅」より徒歩5分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.discovery-museum.com/

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