東京・目黒区の閑静な住宅街にあるアクセサリーミュージアムは、個人邸宅を改装した美術館です。
“アクセサリー”は本来、女性の身の回りにある品々のバッグ・靴・帽子などの総称ですが、日本では装身具のことを主に指して使われています。装身具の中でも、素材を貴金属(金・プラチナ)や天然宝石に限定したものを“ファインジュエリー”と言い、金属・ガラス・木・プラスチックなど素材の価値よりファッション性や服とのコーディネートを重視したアクセサリーを、“コスチュームジュエリー/イミテーションジュエリー/ファッションジュエリー”と言います。アクセサリーミュージアムでは、後者のコスチュームジュエリーを中心に幅広く展示しています。
nbsp;
(左)館内は部屋ごとに時代区分されています。
こちらはアールデコ時代(1920~30年代)
nbsp;
(左)アクセサリーだけでなく調度品も逸品揃いで見逃せません
nbsp;
館長の田中元子さんは、デザイナーとして1960年から日本のコスチュームジュエリーに携わり、ヨーロッパでの買い付けなども通じ、コスチュームジュエリーの変遷を業界の第一線で見てきた方です。ミュージアムでは、田中館長がこれまでコレクションしてきたコスチュームジュエリーを、文化・風俗の時代考証を加えて展示しています。
nbsp;
(左)自らを「オタクなのよ」と言う田中館長。約5万点もの収蔵数からもわかるように、アクセサリーへの愛情は並々ならぬものがあります
nbsp;
田中館長は業界の人向けにセミナーをしたり大学で講義をする機会も多く、ミュージアム設立も、もともとは若いデザイナーや技術者の育成に貢献することが目的でした。しかし、開館後は業界関係者だけでなくアクセサリーの好きな方が他県からもわざわざ訪れてくれるなど、大勢の方に見てもらえて嬉しいと田中館長は話してくれました。展示してあるアクセサリーと同時代を過ごした来館者が、「こんなアクセサリーを私もしていたわ!」という興奮交じりの声を聞くのもとっても嬉しいそうです。
nbsp;
自らをアクセサリーの「オタクなのよ」と言って楽しそうに笑う、キュートな田中館長。館内を解説してくれている間も終始笑顔で、アクセサリーへの愛情が伝わってきます。
選りすぐりのミュージアム・ピース(美術館で所蔵するのにふさわしい逸品、貴重な品)を紹介していただきました。
nbsp;
アイボリーミニアチュール
nbsp;
アイボリーミニアチュール
ヴィクトリアン時代(1850~1900年)、薄い象牙の板に天使、風景、動物などを物語性豊かに表現したもの。直径5~6cmの中のアートです!鹿の脚の細さが、当時の職人の技術の高さを感じさせます。
nbsp;
シャネル/ラインストーン・ブローチ
nbsp;
シャネル/ラインストーン・ブローチ
アールデコ時代(1920~30年代)の初期シャネル。ココ・シャネルが、ビザンチン様式の影響を受ける前にデザインされたもの。
nbsp;
ミリアム・ハスケル/ブローチ
nbsp;
ミリアム・ハスケル/ブローチ
ベークライト(合成樹脂、プラスチック)を彫ったミニチュアシュナウザーの横顔がユニークな、1950年代のもの。プラスチックだと聞かなければ、精巧なガラス細工にしか見えません!
nbsp;
レッドチェリー3点セット
nbsp;
レッドチェリー3点セット
レッドチェリーモチーフの、ベークライトの色鮮やかなコスチュームジュエリー。3点セットで揃っているのは希少。田中館長が以前アメリカのパーティーにこれらを身に付けて出席したら、見事なファインジュエリーを身に付けた女性たちから羨ましがられた!という痛快な裏話もあります。
nbsp;
ファブリス/ナチュラルアクセサリー
nbsp;
ファブリス/ナチュラルアクセサリー
1960年頃~現代。70年代のエスニックブームを受けて、黒檀・象牙・サンゴを使った洗練されたデザインを発表し、自然素材の代表店となったファブリス。日本では、70年代にファッション・ピープルの間で流行ったそうです。
nbsp;
田中館長によると、収蔵品の総数は約5万点(!)。作者や年代を鑑定できていないコスチュームジュエリーがまだまだたくさんあり、そのうえ年に2度はニューヨークやヨーロッパに新たに買い付けに行かれているので、ミュージアムを訪れるたびに違う展示物に出合える楽しみがあります。
また、ミュージアムショップには入手困難なヴィンデージのコスチュームジュエリーや新作のものが揃っていて、最後まで美しく楽しい世界に浸ることができます。個人の邸宅なので館内は温かい雰囲気で、受付のスタッフの方たちもフレンドリー。リピートしたくなるステキなミュージアムに、ぜひ一度出掛けてみてくださいね。運が良ければ、ミュージアムショップの片隅で、オタク全開で楽しそうにアクセサリーの鑑定や修理をしている田中館長に会えるかもしれませんよ。
nbsp;
はファッション展示が豊富
nbsp;
手頃な価格でヴィンテージ品を入手できるミュージアムショップも必見です
[su_note note_color=”#f6f6f6″]
インフォメーション
2010年に開館したアクセサリーミュージアムは、コスチュームジュエリーに特化した美術館です。時代ごとに区分された展示室で、当時のファッションや調度品の数々とともに、コスチュームジュエリーのコレクションを見ることができます。
[/su_note]
[su_note note_color=”#f6f6f6″]
●アクセス
東京都目黒区上目黒4-33-12
TEL 03-3760-7411
東急東横線「祐天寺駅」より徒歩5分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://acce-museum.main.jp/
[/su_note]