「いろんな下駄に出会える!?桐の博物館」

0

福島県会津地方は、日本有数の桐の産地です。喜多方市には桐の博物館があり、桐の特性を活かした桐製品の数々を見ることができます。

nbsp;

蔵の街・喜多方にあるので、桐の博物館の外観もステキな造りです

nbsp;

エントランスにある「輪積みのトンネル」

 

博物館のエントランスには不思議なトンネルがあり、そこをくぐり抜けると展示スペースが広がっています。「輪積(わづ)みのトンネル」と名付けられたそのトンネル。下駄の形の桐材を円筒に高く積み上げて塔を作り、数か月の間、雨風にさらして木の渋を抜きながら自然乾燥させる、桐の里・会津の風物詩「輪積み」をアートに昇華させたものです。

 

桐は軽くて湿気を防ぎ、狂いや割れが少なく加工しやすいという特性があります。それを活かして、貴重な書面を保管するための箱や雅楽の伎楽面、琴などの文化領域で使われてきた一方、タンスや下駄などの生活用品として、桐は古くから私たちの身近にある素材でした。

 

桐は、人形を操作するのに重量を軽くすることができ、彫刻しやすい素材のため、文楽の人形の頭や手足にも使用されています。館内には「曽根崎心中」の文楽人形が展示されていて、普段は遠く離れた舞台上でしか見ることのできない人形を、間近で見ることができますよ♪
また、木肌の美しさ、木目のやさしさ、手触りの温かさなどの特徴に加えて、防虫・防湿の効果も高いので、桐は建材や建具などにも広く使われています。展示スペースの中心には総桐の茶室が設えられ、桐がつくり出す空間のやわらかな雰囲気を感じ取れます。茶道の宗匠・千利休も桐を好み、様々なお茶の小道具に用いていたと言われています。

 

桐の博物館は、見るだけでなく実際に触れられる展示が多いのも魅力で、その中でも「ダンシング・ドラゴン」は必見!桐と竹、鉄でつくられた巨大な龍が吊るされていて、ハンドルを回すと踊りだします。それも3種の素材がにぎやかな音を立てながら。

 

館内に展示されている「輪積み」。積み重なっている様子がわかりやすいように、色付けされています

 

「曽根崎心中」の一コマ。文楽人形の頭と手足にも桐が使われています

 

木目の美しさ、やさしい手触りなど、桐ならではのぬくもりを感じる贅沢な総桐の茶室

 

看板に書かれた“ハンドルをゆっくり回してください”との言葉をきっちり守って、おそるおそるゆっくり回すと微妙な音と不自然な動きでしっくりきません。ある程度(常識的な加減で!)の勢いをつけて回した方が、「ダンシング!!」な音と動きを楽しめますよ♪

 

桐製品と聞いて真っ先に思い浮かぶのは桐下駄。靴が登場する前、下駄が日常的に履かれていた時代の下駄もたくさん展示されているので、その中から、カワイイものや笑っちゃうようなものまで、面白い下駄をいくつかご紹介します。

 

回し加減がむずかしい「ダンシング・ドラゴン」。迫力の動きと音が楽しめます

 

下駄スケート

19世紀末日本にスケートが入ってきましたが、とても高価なものだったので、桐下駄の台にスケートの足をつけたものが作られ、昭和35~36年頃まで使われていました。

 

道化師下駄

大正時代、サーカスで道化師が履いて綱渡りをした下駄。厚さ4cmの板の中央裏には、45cmもの桐の丸太が取り付けられています。この下駄を履いて、高さ20~30メートルもの高所に張られた綱の上を渡ったというのですから、想像するだけでもうクラクラしますね。

 

茶っ切り下駄

大和茶の産地・奈良県で、昭和初期まで用いられた下駄。刃先の尖った3枚歯の下駄で、乾いたお茶の葉を細かく刻み、このあと茶臼にかけて抹茶を作っていました。

 

ネヅラ下駄

ネヅラ(新潟の方言でヒラメのこと)を、遠浅の海で踏みつけて捕まえるための下駄。

 

花魁道中下駄

花魁が町を練り歩く時に履く3ツ歯の下駄。豪華な衣裳にこれを履いての独特の足運び、八文字歩きは花魁の特徴でもあります。

 

[
下駄スケート]鼻緒をグッと握れば自然と前傾姿勢になり、意外と上手く滑りやすいかも?!

 

[茶っ切り下駄]安定感があるのか、ないのか微妙な下駄。これで足踏みして茶葉を切り刻むには、バランスを保ちながらかなりの集中力が必要そうです

 

[
道化師下駄]普通に歩くだけでも大変そうなのに、これを履いて綱渡りできたの?

 

[ネヅラ下駄]これで踏んで捕まえられるほど、ヒラメっておとなしい魚なのでしょうか??

 

[花魁道中下駄]茶っ切り下駄を知った後に見ると、デザイン的に豪華にしただけ?に見えます。どちらも仕事用下駄ということでは同じですしね

 

大人から子どもまで自由に履いて楽しめる下駄がたくさんあります

 

上記のような下駄はありませんが、子ども用から大人用まで様々な桐下駄を履いて遊べるスペースもあります。桐の軽さを体感して、どうしても欲しくなったら、併設の「まちの駅きたかた物産館」で購入もできますよ。喜多方の情報コーナーのほか、桐工芸品や銘菓など特産土産コーナーも充実しています。

 

普段の生活で木製品の材質を気にしたことはありますか?

 

食材の産地や衣類の品質に注目するように、意外と身の回りに多い木製品にもちょっと目を向けてみましょう。さらに愛着がわいて、モノとの付き合い方が変わってきますよ。

 

物産館では桐タンスの大物からお箸などの小物まで、様々な桐製品を購入できます

 

[su_note note_color=”#f6f6f6″]
●アクセス

福島県喜多方市字押切南2-12
JR磐越西線・喜多方駅より徒歩15分
TEL 0241-22-1911
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.kirihaku.com/

[/su_note]