上野公園(東京都台東区)といえば、春の桜、初夏には蓮の花でいっぱいになる不忍池、西郷さんの銅像、美術館や博物館など、見どころがたくさんあります。
それでは、上野公園に大仏があるのをご存知ですか?大仏は大仏でも、体はなくお顔だけの大仏です。お花見や美術鑑賞、動物園に行く途中に、上野公園を何度もぶらぶら歩いたことがある人でも、意外と知らない「上野大仏」を、今回はご紹介します。
上野公園の各所にある地図。上野大仏は載ってないので、上野精養軒を探してください
どの季節も人出の多い上野公園、木陰はオアシスです
上野大仏が建造されたのは、寛永8(1631)年のことです。当時はお顔だけでなく、体もちゃんとありました。それがいつからお顔だけになってしまったのでしょうか。
上野大仏は、地震や火災でたびたび破損しましたが、そのつど復興されてきました。大正12(1923)年に発生した関東大震災でも仏頭が落ちましたが、仏頭は寛永寺に移され、仏体は再建するために解体して保管されていました。しかし、再建されないまま第二次世界大戦が勃発。金属資源として、軍に仏体を供出せざるをえませんでした。こうしてお顔だけが取り残されたのです。
終戦後約30年も過ぎた昭和47(1972)年、寛永寺に保管されていた仏頭が、レリーフとして旧跡に保存されるようになりました。大仏殿の跡地には、大仏再建の願いを込めてパゴダ(ミャンマー様式の仏塔)が建立され、本尊として旧薬師堂本尊の薬師三尊像も祀られています。
小高い所にある「上野大仏」。下からはパゴダがチラッと見えます
のぼりがあっても、興味がないと今まで存在にも気付かず素通りしていました
さて、広い上野公園内のどこに大仏があるかというと、フランス料理の老舗・上野精養軒の近くの丘にあります。公園内の各所に地図はあるものの、「上野大仏」も、管理をしている「寛永寺」も示されていません。上野精養軒は地図に載っているので、そちらを目指して行けば上野大仏が見つかります。
小高い所にあるので石段を上っていくと、思いのほかこじんまりしたパゴダがあります。その左手にあるのが、上野大仏です。写真をご覧いただくとわかるように、お顔だけだとちょっと不気味ですよね。しかも人の背丈くらいもある巨顔です。
以前、鎌倉や奈良で仰ぎ見た大仏は、巨大すぎて顔まではっきり見えませんでした。そのためか、お顔だけアップで見せられるとどうにも不思議で、大仏とはまったく別物のような感じがします。
ミャンマー様式の仏塔、パゴダ
これが「上野大仏」、本当にお顔しかありません
この上野大仏、知る人ぞ知る、開運、厄除け、受験・就職合格祈願のパワースポットなんですよ。その理由は、お顔だけになり、もうこれ以上落ちないから!!だとか。受験生でなくても、社会人になってからも、合格しなければならないことはたくさんあります。そんなとき、受験生に混じって天満宮に行くのもいいけれど、ちょっとひねりを利かせて、上野大仏を参拝するのもいいかもしれません。
上野公園に行く機会があれば、ぜひ、この不思議な大仏を見てきてくださいね。
破損する前の、ご立派な姿の写真も飾られています
インパクトの強い絵馬。これに願いを記せば、絶対落ちない!?気がします
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アクセス
東京都台東区 上野公園内
JR・地下鉄各線「上野駅」より徒歩10分
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://kaneiji.jp/
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