東京・調布市にある縁結びの寺、深大寺に今回は行ってまいりました。深大寺蕎麦や、最近はNHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」のロケ地となり、人気が急上昇した観光スポットとしても知られています。
深大寺の開山は古く、奈良時代の天平5(733)年にまでさかのぼります。開山したのは満功上人(まんくうしょうにん)ですが、深大寺が縁結びの寺と言われるゆえんはそのお父さんにあります。
満功上人のお父さん・福満は、この土地の豪族の娘と恋に落ちました。しかし、娘の両親は猛反対。2人の仲を引き裂くために、ついには娘を湖の小島に隔離してしまうほどの反対ぶりでした。そんな猛烈な反対にあっても諦めきれない福満は、水神の深沙大王に神頼みをします。すると大きな霊亀が現れて、愛しい娘のもとへ連れて行ってくれたのです。これを知った両親はようやく折れて、2人は結ばれ、生まれたのが満功上人です。その後、福満は成長した満功上人に「深沙大王を祀ってほしい」と頼みました。満功上人は父の願いを受け入れ、出家し唐で学び、その後帰郷した満功上人は深大寺を建立したのです。
この物語から、深大寺は縁結びの寺として有名になりました。恋物語よりも、満功上人がいかに親孝行かということの方がよほどインパクトが強い気がしないでもありませんが…。とにもかくにも、深大寺は縁結びの寺なのです。
お蕎麦屋さんが軒を連ねる参道の先には石段があり、見上げると存在感のある茅葺き屋根の山門が建っています。今から約300年前の元禄8(1695)年に建立され、慶応の大火も免れて今なおその雄姿を残している、境内最古の建造物です。その山門を抜けると、山門の次に古い天保4(1833)年に建立された常香楼があります。こちらも災いを免れましたが、北側に大火の傷跡が残っています。慶応2(1866)年に起きた慶応の大火が、深大寺の歴史を知る上では欠かせない出来事なのです。
茅葺き屋根が印象的な深大寺の山門
山門と同じく慶応の大火を免れた常香楼
本堂は慶応の大火で被災しましたが、大正時代に再建されました。しかし、同じく被災したのに、本堂よりも先に再建されたお堂があります。元三大師を祀っている「元三大師堂」です。厄除けの元三大師が、いかに人々から厚い信仰を集めていたかがわかるエピソードですよね。
鎌倉時代末から南北朝期にかけてつくられたとされる元三大師像は秘仏で、一般に公開されるご開帳行事は25年に一度だけ。前回は2009年に行われたばかりなので、残念ながら次の機会はまだまだ先の2034年です。
参拝客が後を絶たない本堂
本堂の梁の先に施されていた獅子の彫りに釘付けになります
元三大師堂での注目は、「賓頭廬尊者(びんずるそんじゃ)」の像です。通称「おびんずるさん」は大勢の病人を救ったインドの僧侶で、身体の悪いところを撫でると病気平癒の霊験があるといわれています。おびんずるさんの前にも行列ができていて、順番がまわってくると皆さんやさしく撫でていました。
境内には、蕎麦の町・深大寺ならでは(?!)の珍しい、日本でここにしかない、ということは世界でここだけ(!)の「そば守観音」もあります。しかし、その観音さまに「そば」の要素を一切見いだせないのは残念…とついつい思わずにはいられません。
でも、深大寺周辺には22軒ものお蕎麦屋さんがあるので、自分好みの美味しいお蕎麦に出合えるように、お蕎麦を食べる前にお詣りしておくといいのではないでしょうか。
「おびんずるさん」をぜひ撫でてきてください
日本でここにしかない「そば守観音」
縁結びのお願いをするなら、「深沙大王堂」へ立ち寄るのを忘れずに!
さて、福満の願いによって満功上人が深大寺に祀った深沙大王ですが、本堂や元三大師堂から少し離れたところに「深沙大王堂」はあります。深沙大王は江戸時代まで総鎮守で、元三大師とともに参拝客が絶えませんでした。しかし明治時代の神仏分離令でお堂は失われ、昭和43(1968)年に再建されました。深沙大王像も元三大師像と同じく秘仏で、こちらは深大寺の住職も在任中に一度拝める程度というのですから、もちろん私たちが目にすることはできません。お堂の前で手を合わせることで、縁結びのお願いをしましょう。
「縁」といっても恋愛に限らず、さまざまなものが考えられますが、やはり福満の恋物語がベースになっている縁結びの寺なので、お堂の脇の絵馬に書かれている願いは恋愛・結婚に関するものばかりです。
2005年からは、深大寺周辺を舞台にした恋愛短編小説の全国公募が実施されています。あたたかい「深大寺恋物語」(http://novel.chofu.com/)の数々を読めば、深大寺や周囲のお蕎麦屋さんなどにさらに親しみがわくと思います。
縁結び祈願と、美味しい深大寺蕎麦を食べに、緑豊かな深大寺へぜひ行ってみてくださいね。週末はとっても賑わうので、できれば平日に行かれることをおすすめします。
[su_note note_color=”#f6f6f6″]
アクセス
東京都調布市深大寺元町5-15-1
TEL 042-486-5511
京王線「調布駅」「つつじヶ丘駅」北口、JR 中央線「吉祥寺駅」「三鷹駅」南口よりバス、「深大寺」で下車すぐ
http://www.jindaiji.or.jp/
[/su_note]