3月22日、靖国神社(千代田区九段北)へ桜を取材に行ってきました。桜は7分咲くらいの印象で、平日の昼間にもかかわらず大勢の人が花見に訪れていました。参道には露店も出ていてお祭りのよう。そこで買い求めた酒やつまみを手に、桜の下で思い思いに即席の花見の宴を楽しむ光景が見られました。
九段下の駅から坂を上ってくると、靖国神社の大きな鳥居が見えてきます。露店が賑やかでした
桜の下で酒や料理を楽しむ花見客
東京の桜の開花は、靖国神社境内にある桜の木が基準になっています。その木は関東地方の標本木で、花が5,6輪咲いたことを気象庁の係員が見て確認すると「開花」が宣言されるのです。今年は3月16日に開花が宣言されましたが、これは1953年の同調査開始以来、最も早かった2002年に並ぶ記録です。
桜の開花に影響するのは、前年秋から春先までの気温です。冬にある程度寒くて、そのあとは、春先が暖かいほど開花は早まります。その中でも、東京の桜開花に最も影響するのは、3月の気温です。今年、東京の染井吉野が早く咲いたのは、3月はじめの約2週間の気温が高かったことが大きく影響しています。
さらに参道を進むと第二鳥居が見えてきます
こちらは神門。中央の二つの扉には、直径1.5メートルの菊花の紋章が取り付けられています
靖国神社は、明治2年(1869)6月29日、明治天皇の思し召しによって建てられた東京招魂社が起源で、その後に「靖国神社」と改称されて今日に至っています。
神門の向こうは神聖な領域
桜が競うように咲いています
明治7年(1874)、明治天皇が初めて招魂社に参拝された折にお詠みになられた「我國の為をつくせる人々の名もむさし野にとむる玉かき」の御製からも知ることができるように、国家のために尊い命を捧げられた人々の御霊を慰め、その事績を永く後世に伝えることを目的に創建された神社です。「靖国」という社号も明治天皇の命名によるもので、「祖国を平安にする」「平和な国家を建設する」という願いが込められています。
靖国神社には現在、幕末の嘉永6年(1853)以降、明治維新、戊辰の役(戦争)、西南の役(戦争)、日清戦争、日露戦争、満洲事変、支那事変、大東亜戦争などの国難に際して、国を守るために尊い生命を捧げられた246万6千余柱の方々の神霊が、身分や勲功、男女の別なく、すべて祖国に殉じられた尊い神霊(靖国の大神)として斉しくお祀りされています。
この桜が気象庁の標本木
標本木の周りを囲んで撮影する参拝客
日本を象徴する桜は、靖国神社に鎮まる英霊にとって誇りの象徴でもありました。靖国神社の桜は、明治3年(1870年)、木戸孝允公が植えたのがはじまりです。今では境内には染井吉野をはじめ山桜、寒桜、富士桜、緋寒桜、枝垂桜、ウコン桜など約600本の桜が植えられています。
華麗に咲く桜ですが、それぞれの歴史を背負っているのです
拝殿前
神門をくぐると、中門鳥居前の境内のあちらこちらに立ち並ぶ桜の木が目に飛び込んできます。その木々に近づいてよく見ると小さな札が掛けられていて、生き残った人が戦死した仲間を追悼し植えたことが書かれていたりします。ぞれぞれの桜に人の歴史が刻まれています。標本木はこれらの木と一緒に花を咲かせて、毎年、東京の春を告げているのです。
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アクセス
東京都千代田区九段北3-1-1
TEL 03-3261-8326
JR中央線・総武線「飯田橋駅」、「市ヶ谷駅」より徒歩10分
東京メトロ東西線・半蔵門線、都営新宿線「九段下駅」より徒歩5分
東京メトロ有楽町線・南北線、都営新宿線「市ヶ谷駅」より徒歩10分
東京メトロ東西線・有楽町線・南北線「飯田橋駅」より徒歩10分
http://www.yasukuni.or.jp
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