関東のお伊勢さま「伊勢山皇大神宮」

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今年は伊勢神宮が20年に1度、社殿を造り替える式年遷宮の年ですが、横浜に“関東のお伊勢さま”と呼ばれ親しまれている神社があるのをご存知ですか。

 

野毛山公園や動物園にも近い伊勢山皇大神宮(いせやまこうたいじんぐう)は、明治時代に国費で創建された神社です。明治維新後、横浜が貿易の拠点として重要な役割を担って開港するのに際し、国の平安を願い、鎮護するために、明治3(1870)年、社殿をはじめ境内が整備されました。そして翌年、社殿および境内施設が完成しました。伊勢山皇大神宮は神奈川県の宗社であり、横浜の総鎮守でもあります。このことからも、関東のお伊勢さまというよりも、横浜のお伊勢さまの方がピッタリくるかもしれません。
社殿が完成した時に、それまでは野毛山だった地名も伊勢山になりました。どちらにしろ「山」と付くので、伊勢山皇大神宮のある土地がどんなところかわかりますよね。散歩途中に立ち寄った様子の人の姿も多く見られ、地元の人々からとても愛されている場所であることがわかります。しかも約3900坪の境内は高台にあるため勾配がきついので、足腰の筋力を衰えさせないための格好の散歩コースになっているようです。階段を上り下りするたびに違って見える景色は新鮮です。

 

石段を1段上るごとに厳かな気持ちになる伊勢山皇大神宮

 

屋根の千木(ちぎ)と鰹木が特徴の社殿

 

伊勢山皇大神宮の御祭神は、伊勢神宮の内宮と同じで、天照大御神(あまてらすおおみかみ)です。天照大御神は、“国造り”と“神造り”をした伊邪那岐神(いざなぎのかみ)とその妻の伊邪那美神(いざなみのかみ)の夫婦神を両親に持ちます。伊邪那岐神は黄泉(よみ)の国へ行った穢(けがれ)をはらうためにみそぎを行い、その時に、左目から天照大御神を生んだと伝えられています。

 

社殿は、創建当時のものは関東大震災の折りに倒壊したため、昭和3(1928)年に現在の社殿が復旧建造されました。社殿の前に行くと、背筋がピンと伸びるような気持ちの良い張りつめた空気感があります。関東のお伊勢さまというだけでなく、パワースポットとしても知られる伊勢山皇大神宮は、特に境内神社から静々と伝わってくるパワーが感じられるとして有名です。

 

境内神社の大神神社磐座は、奥に見える岩が奈良の大神神社から御分霊として移設鎮座されました

 

抱きつきたくなるほど静かにパワーを放っているクスノキは、横浜市の名木古木指定を受けています

 

境内神社には、大神神社磐座(おおみわじんじゃいわくら)と、杵築宮/子之大神(きづきのみや/ねのおおかみ)があります。
杵築宮/子之大神は、月讀命(つきよみのみこと)、須佐男命(すさのおのみこと)、大国主命(おおくにぬしのみこと)、住吉三柱大神(すみよしみはしらのおおかみ)が御祭神です。ちなみに、天照大御神が伊邪那岐神の左目から生まれたのと同じ時、右目から生まれたのが月讀命、鼻から生まれたのが須佐男命だそうです。杵築宮は、明治の頃に盛んだった養蚕や海運関係者から厚い信仰を集めていました。 一方、子之大神はもともと野毛という地域に鎮座されていた氏神様でしたが、第二次大戦の戦禍に遭い、昭和26(1951)年から杵築宮に合祀されています。これら境内神社の前には参拝客を大きく包み込むような包容力の感じられる大きなクスノキがあり、一層厳かな雰囲気を醸し出しています。

 

大人気のおみくじは、中に恵比寿さまや大黒さま、かえる、おかめなどの縁起物入り

 

表参道よりも静かで趣のある裏参道。ぜひこちらにも回ってみてください

 

江戸時代、一生に一度は行きたいといわれたお伊勢さま。現代はその気になれば何度でも行くことができるようになりました。交通の便の良い都会にある関東のお伊勢さま、伊勢山皇大神宮は、もっと足を運びやすい環境にある神社です。

 

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アクセス

神奈川県横浜市西区宮崎町64
TEL 045-241-1122
JR根岸線・東急東横線・横浜市営地下鉄「桜木町駅」より徒歩10分、京浜急行線「日ノ出町駅」より徒歩10分
http://www.iseyama.jp/
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