標高866メートルの秋葉山。古来より、この山には神様がいると信じられてきた御神体山です。社殿が建ったのは今から約1300年前、709年のことだと伝えられています。
社号は時代と共に改称されてきました。秋葉の古語である「岐陛(きへ)」が記された「岐陛保神ノ社(きへのほのかみのやしろ)」にはじまり、次は「秋葉大権現(だいごんげん)」。明治時代になると「秋葉神社」となりました。
全国の秋葉神社の総本宮であるところから「秋葉山本宮秋葉神社」に改称されたのは1952年です。御祭神は火之迦具土大神(かぐつちのおおかみ)といって、人々に火の幸と恵みを授け、悪火をお鎮めくださる神様です。12月15、16日に催される「秋葉の火まつり」では、諸厄諸病を祓って新たな年の安全と開運を祈願します。
秋葉山そのものも幾度となく火災に見舞われました。山頂に秋葉山本宮秋葉神社の上社、山麓には下社が存在することはその歴史を伝えています。
上社と下社、二つの拝殿が存在するきっかけになったのは、1943年の山火事です。頂上に位置した「秋葉神社」が焼失してしまったため、現在の下社が建ちました。1986年、山頂に再建された社殿が現在の上社となりました。
両社をつなぐ昔ながらの表参道には、鳥居の跡、焼失した茶屋の跡などが遺されています。道標と信仰の証として知られる石の「常夜燈」にはいろいろな形がありました。いずれも「燈」の字の火辺が小さめに刻まれているところに、防火への願いが託されたようです。
秋葉山表参道の起点は「九里橋」、標高106m
神秘的な下社「境内」と「拝殿」
下社から上社まで、平坦とは言い難い道を歩くこと約2時間。過酷さを体感することで昔の人々の秋葉山への想いの強さに想いを馳せます。
樹齢の多い木々が立ち並ぶ下社「参道」
いったい、あとどれくらい歩けばお参りができるのだろう……と思うのは昔の人も同じだったはず。途中には表参道の全長を50丁とすると、何丁目にいるかを示した石が見られました。1丁は約109メートルです。
未舗装の山道がはじまる五丁目の「常夜燈」
標高710メートルで待ち構えているのは秋葉山秋葉寺山門「仁王門」でした。恐ろしい形相をした2体の金剛力士に護られた秋葉山秋葉寺は、明治時代に一度は廃寺となったものの、1880年に復寺します。
秋葉山秋葉寺山門「仁王門」
神社とお寺が区分されるよりもずっと昔から、秋葉山が霊場として栄えて神道、仏教、修剣道がそれぞれ育くまれてきたことをうかがい知りました。
山里の女性が祈願した「子安地蔵尊」
1943年の大火で唯一燃えなかったという秋葉神社「随身門(ずいしんもん)」をくぐれば、うっそうとした山道が拓けます。
徳川期を偲ばせる秋葉神社「随身門」
高台にそびえる「金色の鳥居」は上社のシンボル。それをたよりに拝殿を目指せば、浜松の街並み、浜名湖、遠州灘、さらには御前崎まで見渡すことができる雄大な景色が広がっています。
標高866m「黄金の鳥居」からの眺め
上社まで車で向かう方は、美しい彫刻がほどこされた西の神門からどうぞ!
上社は「拝殿」と「本殿」がつながる総檜の権現造り
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アクセス
静岡県浜松市天竜区春野町領家841
TEL <下社>053-985-0005 <上社>053-985-0111
<下社>
JR浜松駅から徒歩5分、遠州鉄道新浜松駅で乗り換えて西鹿島駅へ。遠鉄バス秋葉線で秋葉神社にて下車
<上社>
表参道を徒歩で約2時間/スーパー林道を車で約40分
詳しくは、下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.akihasanhongu.jp/
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