「下町風俗資料館」で古き良き時代にタイムスリップ!

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下町風俗資料館は上野公園に位置するので、天気の良い日にはのんびりお散歩も楽しんでください♪

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昭和30年代後半、東京はオリンピックを契機に再開発が積極的に進められました。それによって得た便利さと引き換えに、しだいに失われていった古き良き下町の文化を永く後世に伝えていくためにつくられたのが、上野公園にある「下町風俗資料館」です。

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1階展示室は、江戸時代の風情をまだ留めている大正時代の下町の町並みを再現しています。江戸時代、町人は下町の街道や表通りに店を構え、主に路地裏の長屋を住まいとしていました。これに基づき、通りに面した鼻緒の製造卸問屋の作業場と帳場が「出桁(だしげた)造り」といわれる当時の商家の典型的な建物で再現されています。また、「駄菓子屋」を営む母娘と、銅の器具をつくり修理する「銅壷(どうこ)屋」の職人一家が住む長屋の2軒もあります。
嬉しいことに、商家も長屋も靴を脱いで上がることができ、調度品や生活道具を手に取ってもOK!外国人観光客は珍しそうに商家の番台にあるそろばんで遊んでみたり、日本人の女子二人は長屋の住人になりきって小芝居をしたりして、来場者はそれぞれ楽しんでいました。

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再現された商家・鼻緒の製造卸問屋

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商家の番頭気分で座り、招き猫をなでつつ表通りの人を眺めたりして楽しみました♪

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路地は長屋の住人の共有スペースであり、井戸端会議の場でもありました

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駄菓子屋を営む母娘が住んでいる設定の長屋。一軒3~5坪くらいの広さが普通でした

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2階の玩具コーナーでは、昔懐かしい玩具で遊べます

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2階は、下町の歴史と文化を詳細に知ることができるさまざまな資料が展示されています。ここで注目していただきたいのが、「健康・衛生の道具」コーナーです。
展示品の中に、昭和6(1931)年に銀座三越前で撮られた写真があります。そこに写っている人の姿になぜか違和感を覚えて、じーっとよく見てみると、着物姿の紳士とおさげの学生風の女性がマスクをしているのですが、それが“黒マスク”なのです。昭和初期のマスクは黒が一般的だったそうで、オシャレして銀座を歩いているときにも着けるほどごく普通に装着されていたようです。
いつから黒マスクから白マスクに変わったのでしょう。機能は変わらないにしても、この色の変化はかなり衝撃的です。

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さらに衝撃なのが、その隣に展示されている昭和14(1939)年8月2日の新聞記事です。
東京では、大正時代から毎年夏になると「蝿採りデー」というハエ捕獲キャンペーンを実施していたそうです(1週間やっていたので、正確には「蝿採りウィーク」ですが)。昭和14年の蝿採りデーに関する記事によると、その期間中に8,521万2,409匹のハエが捕獲されたというのです!そしてこの時の個人1位が、現在の港区にあたるところに住んでいた著述業・小塚貞義さん宅のツヤ子夫人でした。1週間でなんと32万匹のハエを捕獲したというのですから、驚きを通り越して、開いた口がふさがらないとはまさにこのことです。それだけの数を捕まえたのもスゴイことですが、一般家庭に32万匹ものハエがいたという事実に驚くばかりです。

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こうした内容の新聞記事を展示するなんて、まさに下町風俗資料館ですね。まず他ではお目にかかれないでしょう。当時の生活・衛生環境がよくわかるというものです。よくマンガやドラマのネタで、現代から過去にタイムスリップ!なんて設定がありますが、異常なほど衛生面に気を配る現代人は、とてもこの時代では生活できないでしょうね。
さて、ツヤ子夫人がどうやって32万匹ものハエを捕獲したのかですが、当時、ガラス製の蝿採り器なるものがあったのです。丸いガラスの中心部にある小皿にエサを置き、そこに入り込んだハエを、水を張った周囲の溝に落とす仕組みになっています。ツヤ子夫人は魚のハラワタをエサにし、水ではなく石けん水を周囲に入れておいて、ハエの大量捕獲に成功したそうです。「誰でもやれる秘訣」としてそのことが記事で紹介されていました。

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実際に使われていた銭湯の番台にも上がることができますよ

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「新収蔵資料」コーナーでも興味深いものを発見しました。昭和12(1937)年1月1日発行の本で、『花嫁さん全集』です。結婚式での作法や心得、流行の婚礼衣装や紙飾りのほか、「花嫁さんの上手な良人(おっと)操縦法」も紹介されています。どんなことが書かれているのか気になりますね~♪
残念ながら展示ケースに入っていて表紙しか見ることはできないのですが、その中の「御出勤の用意」ページのコピーが展示されていました。それによると、夫の身支度をするときの心得は、服とネクタイと靴下は色合いを調和させて揃えるようにしないといけないそうですよ。
それだけに止まらず、「靴下は毎日または一日おきくらゐに洗濯して、さつぱりしたものをお着せするやうにいたします」との細かなことまで記されているのです。結婚のマニュアル本のようなものですね。昭和初期のお嬢さん方はこういった本を真面目に読んでいたとしたら、皆さんよくできたお嫁さんだったでしょう。

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昭和30年代の暮らしを再現した下町のアパートの台所兼居間。戦後家庭の「三種の神器」の1つ、白黒テレビもあります

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『花嫁さん全集』の展示に夢中になっているようです♪

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このように、下町風俗資料館では身近なものを通して私たちの暮らしがどんな風に変化してきたかを知ることができます。
時代の流れと共に私たちの暮らしはあらゆる面で便利になりましたが、それと引き換えに忘れ去ったもの、消え去ったものの方が多いのではと、資料館を出るときにはなぜか家族や大事な人、いま現在の自分の暮らしぶりが、ふと頭をよぎりました。
あなたがもし訪れたら、いったいどんな気持ちになって資料館を後にするでしょうね。是非、古き良き時代へ、タイムスリップしに行ってみてくださいね。

 

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インフォメーション

下町風俗資料館は、庶民の歴史である下町の大切な記憶を次世代へ伝える施設です。週末には昔懐かしい紙芝居や、職人の伝統技に触れることができる鼻緒づくりなどの実演も行われています。

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●アクセス

東京都台東区上野公園2-1
京成上野駅から徒歩3分
JR線・地下鉄銀座線・日比谷線の上野駅より徒歩5分
TEL 03-3823-7451
詳しくは下記オフィシャルサイトをご覧ください。

http://www.taitocity.net/taito/shitamachi

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