静岡県磐田市見付にある「鴨川道場東福山西光寺」。時宗の古刹で、遠江四十九薬師霊場の四十八番札所として、病気平癒(びょうきへいゆ)を願う巡礼の人々から長く信仰されてきました。
旧東海道の加茂川橋の上にある「日限地蔵尊」「ここが本物 縁結び・恋愛成就パワースポット」「NHK大河ドラマ 旧東海道ゆかりの地」などの大きな看板が目印なので、初めて訪ねても迷うことは少ないでしょう。
磐田市指定文化財の「表門」
西光寺を真言宗から時宗に改宗した開祖「一遍上人」
その向こうにひっそりと佇むのが徳川家康公ゆかりの「表門」です。総ケヤキ造りの素朴な建築美は、代表的な江戸時代の門として磐田市指定文化財になっています。
境内には磐田市指定天然記念物、推定樹齢約500年の「大クス」と「ナギの樹」があります。メディアで度々取り上げられ「恋愛成就隠れパワースポット」として有名になったのは近年のことです。
1789年建立「鐘楼堂(山門)」
暗くてわかりにくいですが、大クスとナギの樹
「縁結び」と「縁切り」のご神木とされるこの2本は、しめなわで結ばれています。良縁を結びたいときは、大クスの東側にある小さな社の前から、奥のナギの樹に願い事をしましょう。悪縁を切りたいときは、ナギの樹が大クスに隠れて見えない場所から大クスに願い事をした後で、ナギの樹にも同じことを念じましょう。大クスに止まった黄金色の虫を見つけると願い事が叶うそうですよ。またナギの葉は縦方向だけに葉脈があることから、縁結び・開運のお守りとして拾って帰るのがおすすめです。
遠くからも威容を誇る大クス
左から「薬師如来坐像」と「日限地蔵尊」
「日限地蔵尊」と「阿彌陀仏尊仏」は二代将軍徳川秀忠公の娘和子さまが、お嫁入りのために江戸から京へ上る途中、西光寺に立ち寄られた際に寄付されました。皇后として生涯幸せに過ごした人生にあやかるのはもちろん、不思議な力も信じられています。1621年に建造物が全焼したのにも関わらず、この2体の仏様だけが焼け跡に残っていたそうなのです。とくに「日限地蔵尊」は、病気回復・恋愛成就・志望校合格・就職などどんな願い事も叶えてくれると語り継がれ、江戸時代より400年間参拝者が絶えません。
奥行きある建物を進んでいくと、たくさんの部屋があります。縁側のあちらこちらに置かれている座布団の横には「ちょっとひと息の場所」と心和むメッセージが添えられています。まるでおばあちゃんの家に来ているように、癒され懐かしい気持ちになりました。
お寺らしくない?看板が目印です
最後に、お寺で見つけた住職のごあいさつの一部を紹介しましょう。
「西光寺にある無名有名の仏像や樹木、たとえ黒い柱一本、それを自分自身の心の文化財として見ることができたのであるなら、それはあなたの教養となり、知識となります。心静かに手を合わせる、拝観することによって、仏さまのお像に尊さと穏やかさ、落ち着いた空間が自然に生まれるのです。四季折々日々変化、この世に不変の存在などありません。西光寺の風景も日々変化しています。雨の日は、雨の音を楽しみ、風が吹けば、そよぐ枝を訪ねる。機会があれば、また西光寺にお越しください。心の文化財が、ここにあります。合掌」
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アクセス
東福山西光寺
静岡県磐田市見付3353-1
TEL 0538-32-4216
JR磐田駅より遠鉄バス、「見付」バス停より徒歩5分
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