勝ち運アップの勝ちダルマ「勝尾寺」

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勝尾寺の創建は奈良時代にまで遡ります。神亀4年(727) に草庵を築いて修業を始めた藤原善仲、善算兄弟のもとへ天平神護元年(765)、光仁天皇の皇子であった開成(かいじょう)が二人に師事して仏門に入ります。それから12年後の宝亀8年(777)には大般若経六百巻の書写を終えた開成がこの地に一寺を建て、その名を弥勒寺としました。

 

宝亀11年(780)、寺の名を聞きつけやってきた妙観という名の比丘が白檀香木(びゃくだんこうぼく)をもって十一面千手観音を彫刻すると、その出来に感嘆した開成がこの仏様を寺の本尊に定めました。

 

弥勒寺は創建当初山岳信仰の拠点として栄え、一般の参詣者は元より、天皇や貴族からも厚い尊崇を集めていました。特に平安の頃には、この寺の祈願力において時の朝廷の権力すら叶わないと噂されるまでに成長します。

 

実際、元慶4年(880年)、当時の住職であった行巡が命に従い清和天皇の病気平癒の祈祷を行ったところ、すっかり快復し「ここはまさに王に勝った寺」だと天皇がいたく感嘆したエピソードが今に残っています。やがてそのエピソードに沿うように弥勒寺は天皇から「勝王寺」の寺号を賜りました。ところがその名の意があまりに畏れ多かったことから、最終的には王を尾に差し控え「勝尾寺」としたのが現在まで続く寺号の起こりとなりました。

 

上記のエピソードから、勝尾寺のご利益は何といっても勝ち運上昇。歴史を紐解けば、そのご利益にあやかるべく古くは源氏や足利氏など歴代の名だたる武将が己の勝利を祈願しに勝尾寺へと訪れています。

 

寺の資料によれば、勝利する上で必要な心構えは例え苦しく挫けそうになっても目の前の困難に立ち向かい己に勝つと念じ続けること、克己と七転び八起きの執念こそが目の前の道を明るく照らしてくれるのだといいます。その意を象徴させた勝尾寺の勝ちダルマは己を信じ勝利を願う者の一世一代の勝負事にそっと力を授けてきました。そして人生に勝利して一段と逞しくなった背中を影からずっと見守り続けています。

 

境内に入れば、その包むような母性的視線を必ず感じることが出来るでしょう。岸辺、岩の上・石灯籠の中と、至るところに無限に据えられたダルマ達が参詣者を優しく出迎えてくれるのです。だから挫けそうな時は一旦足を止め、腰を落とし一呼吸してからこのダルマたちと視線を交わしてみてください。自分を信じぬくパワーが徐々にみなぎってゆくのが感じられるでしょう。

 

山門の両脇に聳える仁王像は寺の境内に邪気が入り込まないようにするための門番の役割を担っています。だからでしょうか、箕面の山々に囲まれた広大な勝尾寺に流れる風も草も川も土も全てが混じりけのない清潔な状態を保っているようでした。実際、山門を抜けて弁天池に架かるお浄め橋を渡る頃には、汚れのない大気が良い意味で緊張感を高めてくれます。

 

山門。慶長8年(1603)に豊臣秀頼によって再建されたもの

 

お浄め橋

 

橋の中ほどでは数名の参詣者が目を閉じ静かに合唱しています。幾度か水面から蒸気がシュッと飛沫を上げて立ち昇ります。やがてそれは風で漂い靄となり、遠くの多宝塔と池に浮かんだ弁財天をぼんやり白く霞めてゆく中、周囲を彩る紫陽花のピンクだけが一層水滴で色を強めて光る様が殊に美しく幻想的でした。私も橋の中ほどで目を閉じ合唱、そうすることで身体と心がこの聖域で清められるのだそうです。

 

弁天池から立ち昇る水蒸気は勝尾寺の神聖な水を霧状に噴き上げたもの。マイナスイオンを体感してみてください

 

参道。脇にはサイズの小さなダルマたちが出迎えてくれます

 

更にパワーを注ぎこんでいきましょう。
橋を渡り100メートルほど石段を登った先に一願不動尊と呼ばれるお不動さまが据えられています。お不動さまは人の悪を懲らしめ人を善に導く役割を担い、古来より一つの願い事だけを叶える不動明王として信仰されてきた歴史を持ちます。前に立ち、定められた真言を3回唱えながら願いを念じてください。

 

勝ちダルマ奉納棚

 

一願不動堂

 

順路に沿って進んでいくと程なく厄ばらい三宝荒神社(さんぽうこうじん)が見えてきます。勝尾寺の荒神さまは日本で最古のものだとされていて、特に「役を祓う」「難を祓う」にかけては絶大な力を持っているようです。神前で鈴を鳴らして、定められた真言を3度唱えて念じましょう。

 

厄ばらい三宝荒神社

 

本堂。三門同様、慶長8年(1603)に豊臣秀頼によって再建されたもの

 

その他、四国八十八ヶ所の御砂踏み場のある大師堂や、法然が3年10ヶ月逗留した二階堂を巡った後は、最後に忘れずお浄め橋の袂近くにある知恵の環の周囲を歩いてみてください。

 

そのルートは入口よりゆっくりと右回りに7周し石柱が3本立つ中心点まで歩き、そこから次は逆回りに7周して入口に戻るのが決まりとされています。時間が許すようでしたらこの異彩を放つ空間でのんびりと時間を過ごすのもよいでしょう。並ならぬ神威がその身に宿るかもしれません。

 

なおこの知恵の環、先に本堂や諸堂をお参りしてから巡るのが流儀。勝ちダルマの守護のもと、晴れやかに澄んだ身体に総仕上げのエネルギーを充填してから寺を後にしましょう。

 

知恵の輪

 

紫陽花。勝尾寺には3600株もの紫陽花が植えられています

 

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アクセス

大阪府箕面市勝尾寺
TEL 072-721-7010
千里中央駅から阪急バスにて「勝尾寺」下車すぐ
詳しくは、下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.katsuo-ji-temple.or.jp/
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