伊勢の神様に三ヶ日みかん、衣を献納する「濱名惣社神明宮(はまなそうしゃしんめいぐう)」

0

静岡県三ヶ日町。この神域の歴史はとても古く、平安時代の記録によると英多(あがた)神社という名称でした。かつて三ヶ日地方を統治していた濱名縣主(はまなあがたぬし)が太田田根子(おおたたねこ)という疫病退散の氏神を祀ったことがはじまりです。

三ヶ日の街中に現れる「一の鳥居」

 

境内からは奈良・平安・鎌倉・室町など各時代の器が出土しており、長きに渡ってこの場所でお祭りが執り行われてきたことを裏付けています。

歴史ある秋葉灯籠を過ぎると「二の鳥居」

 

伊勢神宮の神領となったのは940年。このとき主祭神が天照大御神に変わったものと考えられています。見あげるほど高く急な斜面の上から私たちを見下ろす御本殿は、伊勢神宮の方角を向いています。
二の鳥居の脇にあるケヤキが「御神木」

 

伊勢神宮に特産の三ヶ日みかんや、神様の召される衣である「神御衣(かんみそ)」を献納してきた歴史ある濱名惣社神明宮。伊勢の式年遷宮が無事に執り行われた後には、古材を賜ります。

二十四基の灯籠がずらりと並ぶ参道

 

式年遷宮は二十年に一度、神様に新しい社へとお移りいただく大祭です。敷地内に第62回式年遷宮のときに賜った古材が保管されていました。展示された柱を間近で見ていると、伊勢でお役目を終えて三ヶ日の地に届けられたロマンを感じずにはいられません。
第62回式年遷宮で伊勢神宮から賜った古材

 

大きな岩が両脇を護る「拝殿」

 

本殿の鳥居はその木材を再利用してできています。残念なことに、訪れたときは本殿へとつづく参道に足を踏み入れることが禁止されていました。以前は近づくことができたそうですが、物騒なこの世の中ゆえの対策がとられているとのことでした。
山の上から拝殿を見下ろす「御本殿」国指定文化財

 

「浜名天満宮」御祭神 菅原道真公

 

本殿のふもとには機織りの祖神が祀られる二基のお社が鎮座しています。向かって左には、天羽槌雄命社(あめのはづちおのみこと)を祀る社。楮(こうぞ)の皮を繊維として、木綿を織って奉った男神です。
機織りの男神「天羽雄命社(あめのはづちおのみことしゃ)」

 

向かって右には、天棚機姫命(あめのたなばたひめのみこと)を祀る社があります。神話によると天照大御神の神御衣となる布を織って奉った女神です。
機織りの女神「天棚機姫命社(あめのたなばたひめのみことしゃ)」

 

毎年4月第二土曜の「おんぞ祭り」は、近所の初生衣(うぶぎぬ)神社から天棚機姫命社へと行列をつくって催されます。ここから豊橋、渥美半島へと受け継がれた反物は、はるばる海を渡り伊勢の内宮へと献納されます。

惣社という名前のとおり、三社の摂社と、八社の末社が祀られてきた歴史があります。現在は末社のお社は統合され、ずいぶんとお参りがしやすくなりました。

いずれも伊勢神宮の慣わしどおり、お社の屋根を見れば神様の男女が見分けられます。千木(ちぎ)の外側が水平なら男神、上部が水平になら女神です。

境内の脇からつづく山道をのぼると、璽田稲荷(たまだいなり)神社が鎮座しておられます。「おしんめいさま」とならび、「おいなりさま」は三ヶ日の人々に親しまれてきた神様です。じっくりと神々がすまう“鎮守の森”を歩いてみてはいかがでしょうか。

[su_note note_color=”#f6f6f6″]
アクセス

奈良県橿原市久米町934
TEL 0744-22-3271
近鉄南大阪線橿原神宮前駅下車 徒歩10分
詳しくは、下記オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.kashiharajingu.or.jp/
[/su_note]